第62話 空想

『IWGP』


 池袋ウエストゲートパークを思い出す人は、石田衣良ファン。新日本プロレスを思い出す人は、プロレスファン。一つの言葉が行き着く、全く別の終着点。


 華麗な空中戦。真似何てできない、技の応酬。頭の中でしか思い浮かばない様な技が、目の前で繰り広げられる。空想が現実となったと感じる瞬間。


 今日は空想対決。もはやエッセイなのか疑問。ネジが外れた南山之寿の戯言。お時間の限り、この泥試合に付き合って頂きたい。


 ――南山之寿には夢がある。


 電車に乗る南山之寿。となりに座る乗客。老若男女は問わない。手にするスマホで見ているのは、カクヨム。除くのは無礼だと理解しても、見えてしまう作者名は南山之寿。南山之寿に届く、応援の通知。『隣にいますよ?』の返信。もはや、ホラー映画。

 

 男性諸氏であれば、スッと合わせる拳と拳。軽く会釈して立ち去る南山之寿。女性諸氏であれば、スッと差し出すチョコミント。軽く会釈をして立ち去る南山之寿。悲鳴を出す女性諸氏であれば、一目散に逃げ出す南山之寿。『きゃあッッ! チョコミント野郎!』の罵声が車内に響いてしまうから。


 罵声といえば、荒れる株主総会。歪んだ感覚の南山之寿。こんな会社でもあれば、転職したいと空想してしまう。


『チョコミン党ファンド』


 コンビニやファミレスなど飲食業界に投資する集団。利益よりも、チョコミントを優先する異色の集団。通称、青い悪魔。手当たり次第に株を集める物言う株主。総会で飛び交う、意味不明の叫び。


『もっと棚を青く染めろ!! 売場を増やせ!!』

『スイーツは、チョコミント一択だろ!!』

『冬の商戦にも力を入れろ!! 食べる気があるのか!!』

『歯磨き粉をチョコミント味するんだ!!』


 日に日に増える青いスペース、青いフェア。洗脳されていく日本国民。合言葉は、『日本を青く染めろ! 人類チョコミン党化計画』。サムライブルーを見つめながら、チョコミントを食べる南山之寿。


 叶わない夢を語るのが、南山之寿。


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