第63話 氷点下
『絶対零度』
数年前に放送していたドラマ。途中の数話を見逃し、見るのを諦めた記憶。そんなことを思い出す南山之寿。化学の授業で習う、最低温度の方を思い出してもいい。聖闘士を思い浮かべた貴方からは、小宇宙が溢れている。
冷凍庫に入れた水を凍る直前に取り出し、コップに注ぐと凍り出す現象。いわゆる、過冷却。朝起きて枕の香りに驚く。いわゆる、加齢臭。政財界をまたぎ、富と権力をめぐる人間の野望と愛憎を描いた小説。いわゆる、華麗なる一族。さあ、場の空気が冷えたところで本題に。
対戦会場の、今日の気温は氷点下。寒さも度が過ぎると痛くなる。氷点下はとにかく痛い。氷点下になる地域にいた事のある南山之寿。0度の外気温が暖かく感じる、感覚の麻痺を体験。
「今日は暖かいな」
「0度だからね」
こんな会話。温度差が十数度もあれば、こうなるのかもしれない。暖かいとは口にはするが、前日と比較しての話。浮かれてTシャツ一枚、ハーフパンツではしゃいだりしない。
氷点下は暮らしに役立つこともある。買出し帰りの南山之寿。車のトランクに飲料は放置。冷蔵庫より格段に、素早く冷える。シャンパンが凍ったときは流石に慄いた南山之寿。
軒下にできた氷柱。火サスになるのではないかと感じる南山之寿。凶器の氷柱、死因は撲殺。刺したら血痕が飛び散るので回避。物証は溶けて無くなり、迷宮入り。撲殺となれば、世界一硬い食材。鰹節も適任。削って食べれば証拠隠滅。
『氷点下鰹節殺人事件』
そんな話……作れないのが南山之寿。せいぜい作れるのが、今回の様な薄ら寒い話。
今日もまた一段と冷え込んだようだ。
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