第60話 公園

 日本三名園といえば偕楽園、兼六園、後楽園。並べてみるとお茶の銘柄にしか見えない南山之寿。感性がどこか歪んでいる。


 今日の対決場所は、公園。砂場で繰り広げられる棒倒し。南山之寿少年が明け暮れた闘い。泥だんごも躍起になった。こねて擦って、砂で磨く。ピカピカになるまで磨く南山之寿少年。盗られぬようにと隠すものの、呆気なく見つけられ、翌日には無くなっている一品。


 公園は闘う場所に非ず。人々が安らぐ憩いの場。


 鉄棒の練習をする子供。すべり台を楽しむ親子。南山之寿も例外ではない。若と姫を連れて公園へ行く南山之寿。ブランコをやりたいとせがまれる。ブランコに乗せて、姫の背中を押す。若が一人でブランコをこぎながら話しかけてきた。答える南山之寿。意識が若に向いていた。


 急に走る激痛。膝下辺りを金槌で引っ叩かれた様な痛み。目の前を見て理解する南山之寿。姫、ブランコから脱走。ブランコのイスが、南山之寿の膝下に直撃していた。周りの親子の視線が痛い。膝下も痛い。


 公園は闘いの場。南山之寿に安らぐ場所は無い。

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