第48話 糖分
『ライト兄弟』
読書感想文の題材に選んだ南山之寿少年。先人達の浪漫に触れた瞬間、羽ばたきたくなる南山之寿。高所恐怖症ゆえ、羽ばたくことはないのだが。
先人達のおかげで、旅路は楽になった現代。飛行機に乗れば、あっと言う間に着く。機内では基本的に睡眠。気圧の変化で毎度耳の痛みに苦しむ南山之寿。
フライト中に数学の問題を解いた乗客が、テロリストと間違われるというニュース。確かに見ようによっては、得体のしれない記号と数字の羅列。
数学よりは数独派の南山之寿。解けたと思った時に、失敗に気が付くというのがいつものこと。アプリを眺めて電車を乗り過ごすことも、しばしば。
今日の対決相手は、糖分。飛行機の数学テロ疑惑ニュースを聞いたあと、何を血迷ったか数学の問題を漁る南山之寿。You Tubeで数学問題を検索。理解なんぞ出来る訳も無く、脳がオーバーヒート。見なければ良かったと深く後悔する。結果、糖分を欲す南山之寿。
部屋にある甘いものを捜索する南山之寿。生憎、お決まりのブツは切れている。それならばと、甘いものを創作する南山之寿。
パンケーキミックス、ハチミツ、バニラアイスクリーム、フルーツの缶詰、ドライフルーツ。甘そうなものを並べる南山之寿。
『チョコミント野郎! バニラに手を出すなんて! 止めるんだ!! 死にたいのかっ!!』
映画であれば、そんなフレーズと共に爆炎の中に消えて行く南山之寿。何の映画かは、最早分からない。
パンケーキミックスの賞味期限が若干超過。焼けばいける範囲。粉を全投入。トッピングが面倒なので、アイスクリーム意外を捏ねくり回す南山之寿。フライパンで焼くと、想像を凌駕するボリューム。
アイスクリームを乗せ、実食。甘い。普通に旨い。食べても減らない感じに、胸焼けを感じる南山之寿。1ROUND目から既にグロッキー。
『チョコミント君! スイーツのデカ盛りと何をしてるの! 浮気者!! バカッ!!』
映画であれば、そんなフレーズと共に平手打ちを食らう南山之寿。何の映画かは、最早分からない。
いつもの倍以上の濃さで珈琲を入れる南山之寿。苦味と甘味である程度、ダメージを相殺。間食が予想以上に重い夕飯に様変わり。翌日、胃もたれで昼過ぎまで食欲不振に陥る南山之寿。
『糖分の許容量は、年齢に反比例する』
――南山之寿の糖分補給の法則
数学からの糖分の話。南山之寿が飛ばした無駄話の飛行機は、無事に着地した……かもしれない。
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