第35話 料理
入口があれば出口がある。単純明快な道もあれば、出口の見えない摩訶不思議な道もある。正直に言おう。この南山之寿、いつも通り、この話の終着点を見失っている。出だしから、既に迷宮入り。
『五里霧中』さながら、霧の中でもがく南山之寿。否、眼鏡が曇っているだけだ。この時期の眼鏡は、視界を奪う。曇りどめ加工を施しても、太刀打ちできない。真贋を見極める眼の無い南山之寿。眼が曇っているのかもしれない。
今日は、料理対決。『CHEF-1グランプリ』のような華麗な闘いなら、観客を魅了できるのだろう。南山之寿の料理は、気絶するような……。いや、これ以上は止めておこう。流石に虚しくなる。
テレビの特集を見ると、ついつい食べたくなる南山之寿。食べに行くこともあるが、自ら作ることもある。レシピは、そこら中に存在している世の中だ。レシピに従えば、正しい出口に辿り着くはず。
以下、ここ数日の対戦成績。
『リゾット』
ブイヨンの代わりに、味覇を使用。そこそこ美味しいと感じる南山之寿。――辛勝。
『らーめん』
豚肉ともやしを炒めて、ドンと投入。最近はまった、背脂にんにくも投入。瓶の半分位が流れこんだがご愛嬌。――完勝。
『ロールキャベツ』
キャベツも肉も崩れ、よくわからない、スープに変身を遂げる。――惨敗。
『煮込みハンバーグ』
ロールキャベツ同様。崩壊による変身。ミートソース丼に転職。――惨敗。
『カレーライス』
ルーを入れた後に、ビーフシチューのルーと間違えたことが発覚。味は美味しいが、気分が乗らない。南山之寿の舌はカレーを求めていた。――引き分け。
ニ勝二敗一引分。これは、喜んでいいのかもしれない。二礼二拍手一礼。これは、参拝の作法。
南山之寿の冷蔵庫は魔境である。特に冷凍庫。保管用の肉が小分けにされ、保存されている。肉の種類など記載がないから、何の肉か食べるまで分からない。食べても分からないことがある南山之寿。鶏肉だけが唯一の救い。
時折、よく覚えていないものも出てくる。バナナにみかん。ペットボトル飲料に板チョコ。南山之寿は、チョコを凍らせて食べるのが好き。
氷河の中から、チョコミントを発見。魔境に探索に出て良かった。
近所のコンビニにて、バニラモナカを購入。自宅に戻り、モナカを水平に分割。チョコミントを挟む形でモナカを閉じる。南山風チョコミントモナカジャンボの完成。
まだ、エアコンを使うまでもないが、ここ最近の気温は低い。硬さで歯がもげるかと思った。寒さで凍え死ぬかと思った。
道に迷う南山之寿。凍った道を歩み、滑ることもしばしば。場の空気が凍る様な話をして、滑ることはたちょくちょく。
――やはりこの話題。南山之寿は出口を見つけられない。
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