第28話 トリック
――ウォーリーを見つけた。
文字通り、あのウォーリーだ。小学生頃に熱中した絵本の主人公。神出鬼没、かつ天才的な隠れる技術。見つけるのに躍起になった南山之寿少年。特に探していた訳ではないが、街中で見つけた時には思わず二度見した。いわゆる仮装。イベントか何かであろう。ハロウィンあたりだろうか。
『紅は園生に植えても隠れなし』
『紅』は『
ウォーリーは目立つ様で目立たない、トリッキーなキャラ。南山之寿は失敗が目立つ、エキセントリックなキャラ。
それはさておき、今日の対戦で使用するのは、南山之寿トリック。ハロウィンといえば『トリック・オア・トリート』の掛け声。南山之寿に言おうものなら、チョコミント一択。子供泣かせの南山之寿。ここから、『トリック』に無理矢理繋げようとする南山之寿。やはり、エキセントリック。そんな南山之寿のリリック。暫く聴いて欲しい。
トリックと言うと、手品や絵画を思い出す。You Tubeで見る手品のネタバレ。南山之寿が真似ても上手くはいかない。修練が必要だ。手先が不器用だなんて言わないで欲しい。親指が消えるイリュージョンはマスターした。豪語することではない。
観光地に存在するトリックアート美術館。ついつい入ってしまう南山之寿。普段ならば足を運ばぬ美術館。観光地だからこそ、ついつい騙され足を運ぶ。だがしかし、見れば見たで心から楽しむ南山之寿。駄菓子菓子を酒のツマミに買う南山之寿。年甲斐もないとは言わないで欲しい。
『南山之寿を探せ』
トリッキーなイベントを考える。指定された街で南山之寿を探すという、体験型イベント。仮装はしていない南山之寿。お馴染みのDr.某を持ち歩いているという情報だけを開示する。探しやすい様に、何かしらの起点から半径何mという条件もサービスする。
『南山之寿ですか?』
合言葉を唱えて欲しい。正解であれば渡されるチョコミント。外れた時は、物凄い冷たい視線を浴びるだろう。探すワクワク感と、話しかけて大丈夫なのかというスリル感を味わえる。もちろん、仕込みも用意しておく。
意地悪な南山之寿。話しかけられたら、『違います』と騙すかもしれない。イベント主催者が根本を破壊する。エキセントリックなイベント。何のメリットも感じられないイベント。体験したい人は、まずご自身で試すことを推奨する。
さて、ここまで南山之寿の妄想にお付き合い頂き、感謝申し上げる。何を隠そう、この話にオチを用意していない南山之寿。これが南山之寿トリック、いやレトリックだ。
堂々と開き直る南山之寿。
――そう、いつだって
『逃げも隠れもしない』
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