第27話 DNA

 遺伝情報とは、DNA(デオキシリボ核酸)に書き込まれた塩基配列を指す。DNAは4種類の塩基を含んで構成されており、この塩基の並び順を塩基配列と言う。塩基配列によって、作られるタンパク質が違う。遺伝子は、つまるところこの設計図である。


 久々に、生物学の問を開いた。学生時代に買ったのはいいが、一度も開くことなく終わった学問書。冒頭のくだりは、どうでも良い。詳しくはGoogle先生か、生物学の先生に聞くべき話だ。この講義で得たのは知識ではない。出席の代返で習得した七色の声。なんの役にも立たない技能スキルだ。


 みなまで言うな。開いた学問書の内容だ。南山之寿の薀蓄うんちくではない。


 本日は、闘いのDNA。もはや、脈絡も感じられない導入部分。全く関係ないが『e』をたすと、『DeNA』。横浜を拠点とする野球チームになる。特別なファンではないが、あの青いユニホームは好きだ。


 性格が先天的なものか、後天的なものなのか。親子で性格が似るという点で、半分は遺伝という研究結果があるという。南山之寿の性格も遺伝であろうか。


 『せっかち』


 南山之寿の長所かつ、短所。南山之寿は遅刻と無縁。待合せ時刻に遅刻することは皆無。1時間前に着く、異常っぷり。この『せっかち』という特性。どこから来たのか。紐解くと、祖父に突き当たる。


 親曰く、祖父はかなりのせっかち。料理店で注文をするが、一向に提供されない料理。待ちきれず、代金を支払って店を出る。南山之寿は、ここまでのせっかちではない。しっかり料理を待つ貧乏性。


 『隔世遺伝』


 両親は至って普通。だとすれば、隔世遺伝。この言葉を見ると思い出すのは幽遊白書。先祖がえり。温泉に浸かって帰宅する南山之寿。日帰り。急に走った南山之寿の足がつる。こむら返り。話が逸れたので、そろそろ帰ろう。


 祖父から引継がれた遺伝情報。このことを思い出し、ふと開くアルバム。祖父の写真を見る南山之寿。そのあと、何故か鏡を見る南山之寿。


 写真を見る。鏡を見る。みるみるうちに青ざめる南山之寿。


 賢明なる読者の皆様。みなまで言うな……。


 ――隔世遺伝とは、時に避けられない宿命を伝える情報かもしれない。

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