第24話 外観
騙されてはいけない。真実は常に隠蔽され、新たな事実が捏造される。新しい事実に喜び飛び付くのが人間の
南山之寿も間違いなく人間。騙すこともあれば、騙されてしまうこともある。『騙すなんてひどい』と言われても、聖人君子ではない。人間だもの。許して欲しい。
今日の対戦は、外観勝負。インパクトがあれば勝ち。出オチには敵わない。
まずは、有名どころ。コメダ珈琲のメニュー詐欺。写真と違う大きいサイズでの提供。気持ちは有り難いが、胃袋は悲鳴を上げるのかもしれない。
悲鳴が上がるといえば、スイーツブュッフェに南山之寿が現れた時も同様だろう。見た目に騙されてはいけない。南山之寿は甘いものもいける。ただ悲鳴が上がったら、南山之寿も流石に動揺する。
とある峠をドライブ中、ツーリング集団に遭遇する南山之寿。ホンダのモンキーだったか。子供用三輪車やストライダーかと、二度見してしまうフォルム。あんな見た目でも、峠を越せる。彼らと越えたい、天城越え。
料理をしなさそうな男が、実は料理をするというギャップ萌。そう、それが南山之寿。騙していて申し訳ない。今夜は、オニオンスープ。クルトンを買い忘れた南山之寿。うっかりなのは、見た目通り。
食パンを切り刻み、レンジでチン。あっという間に、クルトンの出来上がり……のはず。異臭を放つレンジを開ける南山之寿。パンの面影が皆無の黒い炭が、煙をふいている。慌てて、手元のDr.某で鎮火。うっかりなのは、騙せないし隠せない。
南山之寿が、この発がん性物質を取り込むか否か、真剣に悩んだことは、どうでもいい話。
――外観に騙されてはいけない。
金髪ピアスの、どう見てもチャラい青年。電車で乗り合せた南山之寿。駅で乗車してきた親子。寝てしまった子供を抱いていた。サッと席を立ち上がり、笑顔で席を譲る金髪の青年。
南山之寿を――爽やかな風が走り抜けた。
笑わない一日があってもいい。
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