第5話 音楽

『ノーミュージックノーライフ』


 人は音楽を愛し、音楽に癒やされる。時には自ら音楽を奏で、時には音楽の方向性が違うと言い道を違う。音楽の無い人生は、退屈なのかもしれない。


 幼少期にビアノ教室に通ったが、何の成果も残せずバイエルで幕を閉じた、未完の天才ピアニスト南山之寿です。すみません、豪語しすぎました。


 最近、ワイヤレスイヤホンか有線イヤホンかでSNSが炎上したと記憶してます。今日のスパーリングパートナーは、イヤホン。


 私はイヤホンが、苦手。長時間耳に入れていると痛みだす。ではヘッドホンはどうか。眼鏡が邪魔。食い込む感触が苦手。骨伝導など色々あるから試せば良いが、億劫である。なので、結局はイヤホンで聴く。しかも有線。


 ワイヤレスイヤホンを買いに行く、ネットで買う。これもまた、億劫。けして音にこだわるとかではない。ケチなわけでもない。ちょっと面倒なだけ。信じて欲しい。でも、誰も信じてはくれない。


 電車内で視線を感じる。気のせいかもしれないが、視線へ感じる。このイヤホンを見ているのかもしれない。そう思うと、急に周りと同じ物が欲しくなる。


 そうだ、家電量販店に行こう。


 色々な耳栓……ではなくイヤホン。良さそうな物を見繕い、購入。何やかんや事前に調べている自分が恥ずかしい。このメーカーのこの機種ありますか、なんて質問している南山之寿がいた。


 ふと思い出す夏祭り。盆踊りの記憶。このご時世、大音量で盆踊りなどしたらクレームなど来るのではないか。ならばいっそのこと、bluetoothで参加者に音を届けられないか。


 自分だけに降り注ぐ大音量の中で踊り狂う。でも、周りは静寂。


 ちょっと想像したら、怖い。何か、人として大事なモノを見失う気がしてならない。踊る阿呆に見る阿呆。見る人はきっと怯えて逃げ出す現場。音もないのに一心不乱に踊る群衆。でも見てみたいと思う、阿呆な南山之寿。


『ノーミュージックノー盆踊り』


 やはりいつだって、どんなときも音楽は必要。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る