第13話 正人の自殺

 正人はその日の内に検察に送られ、精神科医の保証や簡易鑑定で精神病と判断されて一週間で精神病院に入院した。


事件の捜査調書を書いていた武内が「白鳥、容疑者が名前を○○正人に変えたのは何時からか分かるか? その時の状況をお前が主任現場監督に聞いているから詳しいことを教えてくれ」


「はい、高校卒業して半年過ぎた頃からだと思います。政治家の黒山氏から依頼されて正人を預かったらしいです」


「それを証明するものは何かあるのか?」


「あります。建設会社に提出した履歴書に○○正人と名前があったそうです。前は工場に勤務していたと書かれてあったが妄想だったようです」


「建設会社と政治家の黒山氏の関係は?」


「建設会社の社長が黒山氏と高校の同級生だったそうです」


「調書には関係ないが、ミクとのSEXの状況の妄想をしているが、その根拠になるものは? 女性経験はあったのか?」


「はい、今井が二十歳の頃、主任現場監督が童貞に気が付きソープランドに連れて行ったそうです。それから月に一度位は通っているようです。それに部屋にはアダルトビデオも沢山あり、確か○○ミクとかの女優の物が多かったです」


「名前が一緒なのも妄想に拍車をかけたのかも、それから正人の供述でミクとの関係が妄想だったの立証はあるのか?」


「ミクさんの母親に確認したのですが、ミクさんは火曜日の夜は何時も家に帰っていて水曜日は家でごろごろしていたようです」


「やはり妄想か? 分かった」


それから3日程して検察から警察に連絡が入った。


正人が自殺したと、警察を出てから十日後に急に落ち込み、自分がミクを殺したと騒ぎだし鎮痛剤などを打ち対処した。


自殺の恐れがあり金属や紐など身の廻りに道具になる様なものは取り除いたが、自分の着衣を細かく千切り繋げて紐を作り、ドアノブに掛けて首を吊ったらしい。


紐は千切る時に爪などが剥がれ血に染まっていたらしい。


首もドアノブの位置が低く長い間苦しんだようだった。大分苦しんで悲惨だったが、正人がミクを妄想でも深く愛していた事を痛感させた。

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