第3話 ミクの生い立ち

 ある日の夜、信二さんから居酒屋に呼び出された。ミクの事もあり余り気乗りがしなかったが、悶々としていても仕方ないので出掛けた。


居酒屋に行くと個室に案内された。そこには信二さんと美鈴さんがいた。美鈴さんはミクの事で話したい事があると切り出した。


「最近のミクは酷く落ち込んでいる。正人さんの事が好きで大事に思っているのは伝わって来るの。私の告げ口でこんなことになってミクには悪いことをしたと思っている。またミクとやり直してあげて欲しい」


「私もミクの事は好きです。ここ数日で気持ちを整理しようと思う。でもあんなに軽い子だとは思わなかった」


「それには色々訳があるの、私はミクの2つ年上で家も近く、小中学校も一緒だった。ミクが小学校一年の時に家を新築したが、ミクが小学校三年の時にお父さんが病気で亡くなった。お母さんは家のローンや経済的な問題で再婚した。その義父との関わり方でそんな風になったと思う」


「関わりとは?」


「実はミクの生い立ちで個人的な話で聞かせたくない、益々ミクが嫌いになると困るから」


「いや、其処まで聞いたので最後まで教えて、それから気持ちの整理を付けたい」


「分かったわ・・・・ミクは義父さんに懐かなかった。義父さんは色々と気を引こうとしたが駄目だった。そのことで母親とか家庭の雰囲気が悪くなって行った。それを小さいながら分かっていたので、懐く振りをしたら義父さんは喜び母に伝えて一時的には家庭の雰囲気は良くなった。それで自分さえ我慢すればと考えた」


「それって、ミクから聞いたの?」


「そう、このレストランに入ってから色々と男関係が激しかったので注意したら相談されたの、小学校六年になると、義父さんがいろんな処を触って来て、中二で男女の関係になった」


「えっ、義理でも父親と? そんな・・・・・・」


「実の親でもそんな例があるらしいから、義父とは稀な話でもなさそうだと聞いた事がある」


「彼女のその時の気持ちは? 聞いて見た?」


「小学校五年位から義父さんに色々教えられたと言っていた。SEXと愛情は別だと、自分が欲しいと感じたら彼氏がいても誰とでもSEXをして良いと。今考えれば義父さんの都合の良い考えだった。高校生になると自覚もあり、義父さんを避けるようになり関係は段々無くなっていった」


私はショックで言葉が出なくなっていた。

美鈴さんは続けた。「義父さんの影響で高校でも色々な男の子と関係を持ち、誰とでも寝る子と噂が広がり、男の子達は避けるようになった。そして私が働いているレストランに入って来た。社会人になってからは少し落ち着き彼氏が何人か出来たけどその軽さは変わらなかった。ちょっと擁護になっていないけど、ミクの気持ちは正人さんだけだと思う」


「事情は分かりました。来週の火曜日に来るように伝えて下さい。その時までには結論を出します」

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