5-9 研究室の中で
アキトとケンシロウの吐息と身体に舌を這わせる水音だけが、研究室の中で響いている。
早くケンシロウと繋がりたい。この高まる彼への恋慕を彼の身体に直接注ぎ込みたい。
「挿れてもいいか?」
アキトは荒い息をしながら尋ねた。
気持ちよさそうに目を瞑り、身体をよがらせていたケンシロウであったが、やんわりとその頼みを拒否した。
「ごめん。今日はいろいろ準備して来ていないから」
そういえば、アキトも勢いに任せて行為を始めたため、本番に至るに十分な準備を何もしていないことを思い出した。
妊娠でもさせてしまったら大変だ。
「仕方ないな。じゃあ、抜き合いでイクか?」
「うん。ごめんね」
アキトの要望に応えられなかったことに少し申し訳なさそうにするケンシロウを彼は優しく慰めた。
「いいって、いいって。これからチャンスはいくらでもあるんだから」
「そっか。それもそうだね」
笑顔を取り戻したケンシロウの唇にそっとキスをすると、アキトは彼のズボンとパンツを下ろした。
エロいやつめ。
アキトはケンシロウの股間を掴んで上下に動かした。
「ああん!」
悩まし気な声と共に、ケンシロウの身体が反り返る。
「アキトのも、アキトのも握る!」
ケンシロウは荒い息をしながら、アキトの股間に手を伸ばして来た。
アキトがベルトを緩め、ズボンを下へずらすと、すぐにケンシロウの手がパンツの中に侵入して来る。
あの小さくて繊細な手がアキトの股間を握っている。
優しくて柔らかくて温かいケンシロウの感覚が、アキトを、更に全身をケンシロウの色に染めていく。
「ああ、気持ちいいよ、ケンシロウ。もうイッちゃいそうだ」
思わずアキトも身体がビクンビクンと反応してしまう。
「もう? アキトったら早すぎだよ」
ケンシロウはクスッと笑ったが、そのままアキトの耳元でコソッと囁いた。
「いいよ。オレの手の中に出しなよ」
ただの言葉であるにも関わらず、まるで性感帯を弄られているかのような刺激がアキトを貫く。
「だったら、お前もイケ。俺だけ先にイクのは恥ずかしいから」
アキトはケンシロウに更に強い刺激を与えた。
「ああん! アキトの、アキトの変態!」
ケンシロウは悪態をつきつつも、快感に悶えている。どうやらこいつも絶頂が近そうだ。
「じゃあ、同時にイクぞ」
「うん」
二人は声を掛け合い、互いをより速くより強く握り、刺激を与える。
蜜がダラダラと大量に亀頭の上から流れ出し、それが二人の手を濡らしてぬちゃぬちゃとイヤらしい音を立てる。
尿とは違う独特の香りが狭い研究室の中に充満していく。その音に香りに二人の性的興奮が更に加速していく。
「ああ、もうイッちゃいそうだ」
「オレもイク!」
二人はそう声を上げながら、互いの手の中に白い愛液を大量に発射したのだった。
「あはは、アキトったらめっちゃ濃いミルクを出すんだから」
ケンシロウが悪戯っぽく笑いながら白い愛液でベトベトになった掌をアキトに見せつけて来た。
アキトは思わず赤面する。
「お、お前だって、ほら。こんなに俺の手を汚しやがって」
仕返しにアキトはケンシロウの愛液にまみれた自分の掌を彼の目の前に突き付けた。
「恥ずかしいよ」
顔を赤くして目を逸らせたケンシロウの頬にアキトは優しく口付けをし、ティッシュで汚れた掌を綺麗に拭いてやった。
「オレもアキトの手を綺麗にする!」
ケンシロウもアキトからティッシュを受け取ると、律儀に彼の掌を拭った。
優しくて可愛くてたまらない。もうアキトはケンシロウの前でとろけてしまいそうになっていた。
「アキト、オレのことどう思う?」
トロンとした目でケンシロウがアキトに甘えて来る。
「可愛いよ。可愛くてたまらない」
アキトは熱っぽくそんなケンシロウの問いに答えた。
「オレのこと、好き?」
なおもケンシロウはアキトの愛を求める。
「ああ、好きだ」
そのアキトの答えにやっとケンシロウは満足気に微笑んだ。
「よかった。オレもアキトが好き!」
上気した頬を湛えた童顔がトロンとした瞳で一心にアキトの顔を見つめて来る。何とも甘えん坊で愛らしいやつだ。
アキトは欲情の溢れるままにケンシロウの唇を奪うのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます