第六十六話 エリゼと入口

 時はあれから十数分後。

 現在、エリゼ達は目的地へと到着していた。

 すなわち。


「ここが例のトンネルね?」


「ん……(こくり)」


「山の地下に山道を通すなんてすごいぞ!」


 と、エリゼの言葉に対し、続けて言ってくるのはソフィアとクレハだ。

 後者のクレハの感想には、エリゼも全く同意見だ。


(山を掘って道を作るなんて、昔の人は本当にすごいわね)


 到底、現代人ではできないに違いない。

 しかしそんな昔の人ですら、モンスターには全く歯が立たずにほぼ全滅したのだ。


(不老不死で人間を襲う怪物……まぁ、負けてしまうのも当たり前よね)


 そもそもモンスターはいつから居たのか。

 いったいどこからやってきたのか。


 などなど。

 エリゼがそんなことを考えていたら。


「なぁなぁ、エリゼ! このトンネルに入るんだろ?」


 と、聞こえてくるのはクレハの声だ。

 そんなクレハはエリゼへとさらに言葉を続けてくる。


「入口が塞がれてる! どうやって入るんだ?」


 見れば確かに、トンネルの入り口は厳重に封鎖されている。

 ソフィアの話だと、このトンネルはモンスターの巣窟になっているとのこと。


 きっといずれかの時代の人間が、閉じ込められるだけのモンスターをこの洞窟に閉じ込めたに違いない。


(まぁどちらにしろ行くけれど、あまりモンスターがたくさんいると厄介ね。まぁ、レベル上げできると考えれば、苦でもないのかしら)


 となると、このトンネルの封鎖をどうするかだが。

 考えたのち、エリゼはトンネルをよく見る。

 すると見えてくるのは。


 両開きの鉄製扉。

 完全封鎖するために打ち付けられた鎖と鉄板の数々。


 普通に考えたら開けるのは不可能だ。

 普通に考えたらだが。


(これを作った人、もうとっくの昔に寿命かモンスターに殺されているでしょうし……ぶっ壊しても問題ないわよね?)


 そして、エリゼはゆっくりと扉の方へと手をかざし……。


「攻撃魔法『ファイア』!」


 と、エリゼ唱えると同時、彼女の手から放たれたのは巨大な火球。

 それは吸い込まれるように鉄製の扉へと直撃。


 猛烈な爆炎を発生させる。


 そうしてしばらく。

 炎と爆煙が収まり始めた向こう側、やがて姿を現したのは。


 大きなトンネルと、その向こうにある緩やかな階段——地下山道の入り口だ。


(これで解決したわね)

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