第六十三話 モグモグパクパク②
「違う! さっきの蛇のモンスターがまだ生きてる!!」
と、聞こえてくるのはクレハの声。
エリゼがすぐさまモンスターの方へと視線をやると……。
バッ!
と、襲いかかってくるのは倒したはずのモンスター——ジャイアントスネークだ。
完全に油断していた。
(でもまだ対処可能よ!)
エリゼはレベルの上昇と共に、身体能力も上がっているのだから。
彼女はそんなことを考えたのち、すぐさまモンスターへと攻撃を繰り出そうとし……やはりやめた。
その理由は簡単だ。
モンスターがいつまで経っても攻撃してこないからだ。
エリゼの方へ寄って来たものの、じっとこちらを見て来ているだけなのだ。
というか、心なしか頭を下げてきている気がする。
(いったいどういうこと? どうしてこのモンスターは……まさかっ!)
思い当たることがひとつだけある。
それはソフィアだ。
先ほど、ソフィアはこのモンスターをパクパクしていた。
要するに噛んだ。
そして忘れがちな大原則。
ゾンビの作り方は、特殊魔法『ゾンビ化』を使うことだけではない。
そう。
ゾンビに噛まれた者もゾンビになる。
エリゼが生み出したゾンビであるソフィア。
その彼女に噛まれたジャイアントスネーク。
要するにそういうことに違いない。
「あなた、私のゾンビになったの?」
「……」
と、エリゼの質問に対し無言でこちらを見つめてくるジャイアントスネーク。
よくみると、ジャイアントスネークの怪我はどんどん治っていっている。
きっとソフィアと同じく、エリゼのレベル故生前に近い所謂ハイスペックゾンビになったに違いない。
「エリゼ、大丈夫なのか?」
と、聞こえてくるクレハの声。
エリゼはそんな彼女へと言う。
「えぇ、このジャイアントスネークは仲間になりたいそうよ」
「本当か!? すごい、モンスターの仲間だ!」
「本当にそうね」
これは確かに凄いことだ。
なんせ、人類の脅威を味方にできたのだから。
特殊魔法『ゾンビ化』。
凄まじい当たりスキルだ。
と、ここでエリゼはとあることを思いつく。
それは。
「このモンスターにみんなで乗ったら、早く移動出来るんじゃないかしら?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます