ミステリー解決へ(男女問わず 掛け合い)

A「先生、これってどういうことなんですか? 密室から忽然こつぜんと姿を消した被害者……残された大量の血痕を精査した結果、被害者のDNAと一致。想定される出血量から被害者の生存は絶望的……これが我々警察側の結論です。なのに、その被害者が……」


B「結論づけるには、まだデータが不足しているよ。いつも言っているだろう? 導き出されたいくつもの可能性、その中からより事実に近いものを選び出す必要がある。明らかないくつかの事実から導き出された結論が、必ずしも事実とは限らない」


A「けれど、これらの状況を考えると、被害者自身が事件の主犯であることは、揺るぎない事実です」


B「その前提条件が違っていたとしたら? そもそも、『犯人がそこにいなければならない』という思い込みが、この事件をミスリードしている、としたら」


A「……まさか?」


B「ああ。簡単なロジカル・トリックだよ。『そこにいないこと』、こそが、この事件を解き明かすキーポイント、だとしたら」


A「まさか……! では、あの人が……?!」


B「それを裏付けるのは、君たちの仕事だろう? さあ、もういいかな? 私はこの後、三本ばかり論文を読まなくてはならない。……これだけのヒントがあれば、大丈夫だろう? 期待しているよ。優秀な教え子くん」

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