第2話恋愛の足跡

正樹とめぐみと広樹は、割烹料理屋早水に入店した。

正樹とめぐみは一次会でしこたまビールを飲んだので、ボトルキープしてある芋焼酎をお湯割りで飲み、ヒロはホッピーを注文した。

もちろん、ツマミは鶏肉の刺身である。

九州の一部だけで食べる習慣のある鶏肉の刺身は最高にうまい。むね肉よりモモ肉の方が旨い。

「ヒロちゃん、塾講師のクセに6時から飲めるんだね」

ヒロはナカに黒ホッピーを入れながら、

「僕は広報も兼任してるんだ。広報の仕事の日は早くアガレるんだ」


3人は乾杯した。


「しっかし、暑かったな日中は。ヒロは室内だろうが」

「キャプテン、広報の外回りもキツいぞ」

ヒロはプライベートでは、高校時代の呼び名で、正樹の事をキャプテンと呼ぶ。

「制汗剤使っても汗だくになるよね」

ヒロは突然、正樹の匂いを嗅ぐ。

「キャプテン、いい香り」

「着替えてるからさ」

「めぐみはもっといい香りがしそうだな」

「隣座る?」

めぐみは、ヒロを隣に座らせた。

ヒロが、クンクンする。

「うわぁ、いい匂い。オレなんか、ちょっと獣の匂いがする。だが、男の汗はフェロモンなんだ。女が寄ってくるさ。そのうち」


すると、店員が刺身を持ってきた。

「ありがとう、お姉さんソトおかわり」

「めぐみは恋してんのか?」

と、正樹はストレートに聞く。

「私を捨てた彼氏が来週、九州に来るの」

「な、なんですって!めぐみちゃんどうするの?」

ヒロは、興味津々である。

「会ってはみたい。だけど、正樹君と広樹君も一緒に会って欲しいの、ダメ?」

「オレらはなぁ、彼氏よりも長い付き合いだから、キャプテン会ってみようよ」

正樹はお湯割りに梅干しを入れて、箸で梅干しを潰しながら、

「オレも是非会いたいね。元彼氏、仕事なにやってんの?」

「フリーター」

「年は?」

「35歳」

「何だと、めぐみを食わせてやれないじゃないか!」

めぐみは焼酎グラスに目を落とし、

「私が彼の面倒みてたの。だけど、あの子かわいいの」

「じゃ、何故捨てられたんだ?」

ヒロが尋問する。

「オレも聞きたい」


「あの子に女の子が告白して、その女の子た付き合う様になって、音信不通になったの。半年間。私、淋しがりやなの。そして、全てを捨てて、九州に帰ってきたの」

「でも、元彼に会いたいんだ」

「うん」

「俺たちが、この目で確認してやる」

「そうだ。もし、無職ならオレの会社を紹介してやる」

「来週の土曜日、こっちに来るの。その夜に会ってくれる?奢るから」

「キャプテン、半端な野郎なら説教して東京に戻ってもらおう」

「そうだな。めぐみ、彼氏の名前は?」

「しゅんすけ。甲斐俊介」

3人はその後、30分程飲んで解散した。

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