ソープ嬢の香澄ちゃんはグルメがお好き

@katosusumu

第1話 不思議な客

ソープ嬢の朝は遅い。

香澄はそもそもソープ嬢ってタイプじゃない。

って自分でよく分かってる。

たぶん、どこかで人生の道、踏み違ったっていうパターン。

それでも、そこそこ美人で、いい身体して、収入がいいとなったら、水商売っていう選択もありなのかなと思う。

それでも香澄は、いいと決めて生きて来た。

遅い朝、

今日もお店は開店した。

支配人の田辺さんから、指名が入った。

とにかく、仕事。。

エアマットに空気を入れて準備していると、

その不思議なお客さんがやって来た。

「お湯加減は大丈夫ですか」

そんな問答からソープのお仕事が入る。

「ありがとう。お嬢ちゃん、源氏名あるの」

「かすみ。どこにでもいる少女Aだもん。おじさん仕事は」

「手品師。奇術師。マジシャン。舞台で仕事。これでもプロだよ」

お風呂から出たらオイルマッサージ。

一生懸命にペニスをマッサージしたら、思い切り笑われた。

よくお客さんを見てたら、左手の人差し指が根元から無い。

でも事情なんて、どうでもいい。

あたしの健康の秘訣。

何かオジン臭いか。

良く食べて、良く眠る。

グルメの趣味なら、あたし、人に負けない。

エアマットでボディプレイ。

全身ヌルヌルになって頑張ったら、お客さんからスケベな娘だって言われて、嫌な気がしてきた。

それが男の勝手なんだろうけど。

てことで、いよいよ本番セックス。

セックスは基本的、嫌いじゃない。

好きですらある。

で、今日はあたしの大好きな騎乗位から。

興奮して気分が乗って来た。感じちゃう。

さすがに若いし、イケメンの客だよ、と感心する。

でも、あたしのタイプじゃない。

婚期は、今度も逃したか、残念。

それに色気よりも食い気。

急に、銀座のウエストで売ってる

ドライクッキーと、

熱いシナモンティーで、

お茶したらいいだろな、なんて。

お客さんのペースで、フェラでイン。

あっという間のフィニッシュ。

一時間、一万八千円なり。明朗会計。


それでもこの時、香澄はこの不思議な客との出会いが、

彼女の人生を大きく変えることになるとは、

香澄自身、思ってもみなかったのだ。


でもそれは、次のお話。





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