「席替えでツンデレ美人と隣の席になる」
この日は席替えがあった。
席替えは、退屈しがちな学校生活におけるオアシスのようなイベントだ。
誰の隣になるかわからない運試し要素もあるので、オアシスでギャンブルが出来ると来れば、荒んだ生徒が大はしゃぎするのも納得がいく。
俺はその時ハマっていた萌えアニメの影響でなんとなく可愛い女の子が隣の席に来たらいいな、と想像していた。
今回は、くじ引きによって各々の座る席が決められた。
俺の席は窓側の席の一番後ろだった。
のんびりやれそうな席になったなと思っていると、さっそく誰かがやってきた。
すると「一番後ろの席だから喜んでるだけよ、
べっ別にあんたのとなりに来れたからって訳じゃ…」と聞いてもないことを言いながら学校のアイドルと言われている「ハズ」の女子が隣の席についた。
「ハズ」と言ったのはその時俺がその子の顔、名前を良く思い出せなかったせいだ。
しかし俺の想像通りなら、俺が今ハマっているアニメの女の子っぽい人が来るはずなんだけどな…
いやまてよ、そういやいたかもこんなキャラ…
主人公の事が好きな複数の女の子の中に異常にツンツンしたやつが…そのキャラの影響か?
俺はそのキャラに対してかわいいと思わなかったが、ツンツンが印象的過ぎたか…?
俺が不思議そうな顔をしていると、隣の女子は勝手に喋りだした。
「何よその顔は…私の顔に何かついてるかしら?あんまりジロジロ見られると気分悪いんだけど!…っていうか君に顔みられると恥ずかしいし…」
そう言うとその女子はゆっくり目をそらし、顔を赤くしてうつむいた。
ただ言動に一貫性が見られないため、あまり俺の好みではなかった。
これなら隣は男子の方が良かったかもな…と考えていたら、その女子はまた話しかけてきた。
「…そう言えばあんた、いつもお昼はどうしてるのよ。どうせ購買とかのパンでしょ、足りないようだったら可哀想だから、特別に明日から私のお弁当から少し分けてあげても良いわよ!!好き嫌いとかないわよね…?」
別にいらなかった。
足りなければ駄菓子とか錬成するし。
でも想像で無かったことにしてこの子の親切を無下にすることは可愛そうなので、次の席替えまでこのままにしておく事にした。
ちなみに俺は好き嫌いはしないのでそれも彼女に伝えておいた。
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