「授業中、駄菓子パーティ」

その日は何時間目だか忘れたがお昼前で、腹が減っていた。朝御飯を食べずに家を出たせいだと思う。

授業中も10分おきにお腹がなり、全く集中出来ない。

小腹を満たそうにも今お菓子なんて持っていない。

俺は持っていたシャーペンを見つめ、こう呟いた。

「これがトップだったらなぁ…」

トップとは、棒状のビスケット生地の中に最後までチョコたっぷり入ったお菓子の事だ。

それがいつの間にか俺の手に握られていた。

一瞬驚いて上半身をびくつかせたが、授業中にお菓子を出していることが先生にバレたらまずいので、一度で食べやすいように半分に折って、静かに口に入れた。

ビスケットの食感、チョコの風味。間違いなくこれはトップだ。

これはいい…他のも試してみよう。

15センチの縦長定規は形状的に何だろう…

うなぎ屋さん太郎かな?

すると、とたんに香ばしい甘辛醤油のいい香りがしてきた、少し噛るとジューシーなイカのダシとタレの味が舌に広がった。

うん、美味いぞ! でもまだ腹は膨れないな…

正方形に削れた消しゴムはチョロルチョコ。クッキー&ミルク味は、ココアの渋さとミルクの甘さで贅沢な味わいがする。

カラフル付箋は小さなガムになった。

赤はチェリーで黄はパイン、青はブルーベリー、緑は爽やかなミントだ。

授業中に色んなガムを吟味する背徳感がたまらない。別のガムを混ぜて、新たな味を開発するのも楽しいぞ…

顎を動かしたらそろそろ満足してきた。

シメにはアレを食べたい。ブタらぁメン。

俺の好きなミニサイズのカップ麺だが、今はカップ状の物が手元ない…

別に無くても行けそうだが、想像のコンディション的には、今はあった方が良いのだ。

結局、ノートの切れ端を円柱状に加工してブタらぁメンを召喚した。

お湯はちゃんと入ってて、既に1分ほどたった状態だ。

サイズは小さいが、味はしっかりカップ麺だ。

二口ほどで熱々の麺を全部すすってしまった。

残った汁はちゃんと飲む。むしろこれがメインと言っていいだろう。とんこつしょうゆスープが、昼食前の胃袋にじわっと染み込む。非常に満足だ。

気が付くと授業は終わり、号令がかけられた。

俺が満足した時点でお菓子の残骸は消えていた。

匂いも俺以外にはしてなかったようだ。


しかし、それ以外は先生にバレていて「不思議な動きをするな、授業に集中しろ」と叱られてしまった。

次からはグミとかラムネにしようと、俺は反省したのであった。


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