「授業中にテロリストが!!」
この日は授業がとてもつまらなかった。
数学の授業だった筈だが、内容は一切覚えていない。
目の前の教員がなにやら難しい専門用語や数式の解説やらをしているが、同じ言語で喋っているとは思えないくらいに話が理解できず、言葉は耳からすっぽぬけて行った。
なので、俺はこの時間を妄想でもしてやり過ごそうと考えた。
「武装したテロリスト集団でもこの教室に押し入って来ないかな。そしたら俺が徒手空拳で全滅させるのに。」
そう呟いた瞬間。教室の入り口のドアが前方と後方、同時に勢いよく、粗雑に開かれた。
そして全体的に黒い装備で身を包んだ怪しげな男たち数名が教室内に侵入し、その内の一人が声を荒げて叫んだ。
「お前ら教室から一歩も出るんじゃねぇ!!殺されたくなかったらおとなしくしやがれ!!」
怯えた生徒は入り口と反対方向の窓側に逃げて縮こまった。勇敢にも1人立ち向かった数学教師は体を蜂の巣にされて死んでしまった。
俺は、というと。
突然の事に驚き体が全く動かなかった。
なので着席したまま、1人教室の中央付近に取り残されてしまった。
テロリストの1人がゆっくり近づいてきて俺の後頭部に銃口を向けた。
「ボウズ、大人しくしてな。」
と低い声で脅されたが、俺はワンチャン行けるんじゃないかと思って後方に手を伸ばし、銃を掴んだ。
そのテロリストは一瞬動揺し、引き金にかかった指に力が入ったがそこの隙をついて誰かに習ったわけでもない空手モドキの正拳突きがテロリストの顎に入り気絶させることに成功した。
そして、残りのテロリストがクラスメイトに危害を加える前にそれぞれ一歩の跳躍で近づき、二秒のうちに全員のテロリストの首の骨を、腕を振り上げる時の風圧だけでへし折った。
何とかクラスメイトは助けられたが、死んだ数学教師がかわいそうだったので結局テロリストが来る前までに時間が戻るように想像して何事もなかった事にした。
その後の退屈な授業中、テロリストが教室に押し入る妄想をしないように意識するのがとても大変だった。
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