その剣の名は、誰しも一度は耳にしたことがあるでしょう。そう、あの有名な「アーサー王伝説」にて少年アーサーが岩の中から引き抜いた「王の証」です。
本作は、その剣エクスカリバーが秘密のオークションにかけられ、一人の大富豪の手に渡ったことから始まります。彼は剣の力と謎の女の黒魔術によって自らの欲望を叶えようとするのですが……そうは問屋が卸しません!
善と悪は絡まり合った二匹の竜のようなもので、どちらかが天を目指せばもう片方も高みに昇る。出来れば魔界の存在など否定したいうらぶれた男が皮肉にも運命に選ばれて、これに立ち向かうのです!妖精の美女やオカルト系YouTuberと共に!
設定の意外さと面白さ、個性的な人物達の軽妙な掛け合い、読み手を飽きさせないハイテンポな展開、スリル満点の戦闘シーン……。長所を数えればキリがありませんが、私は特に「現実世界がその重さを失わずに超現実的な世界と違和感なく融合している」という部分に驚いています。
現存する武器(対物ライフル:バレットM82)と魔力を合体させた戦闘なんて、聞くだけでは突拍子もないことに思えるかも知れませんが、作者様の文章は非常に洗練されている上安定感があり、読み手を納得させてくれるのです。
ランガム・ホテルやロンドン塔など、英国の名所が随所に登場するのも本作の魅力の一つです。また作者様はかなりの映画通でいらっしゃいますので、そのエッセンスが至る頁に散りばめられています。意味の分かるものがあるとやっぱり嬉しくなっちゃいます。
最後に。つらつらと長くなりましたが、以上の感想はたった二言にまとめられるので叫びたいと思います。どうぞご唱和下さい!
「ハリウッドで映画化してくれーー! 主演はジェレミー・レナーでーー!」
え、なに、別の俳優さんが良いって? いやここはジェレミーでしょう!!
私の趣味で決めるなって? うるせえ、私が大富豪ならとっくに大好きなジェレミーで映画化してるんだよ! カクヨム一好きな小説なんだから!!