いつの間にか攻守逆転してました

でずな

S



 私の彼女、未来みらいは元々内気な子だった。

 自分に自信がなくて、いつもどこかで怯えてる子。一緒にいたらつい守ってあげたくなる。もちろん、夜の方も私がリードしていた。お互いの欠点は補い合う。そうやって過ごしていた。

 

 付き合いたての頃はうまくいかないこともあったけど、元々気が合っていたので次第に仲良くなり、私達は一つ屋根の下で生活するほどになっていた。

 更にはお互いの両親に挨拶して、女同士で一緒にいてもいいと承諾をもらったりと、私達の関係は上手くいってた思う。

 

 関係というよりか、立場が逆転したのは私が何も言わずに襲っちゃったあの夜から。寝込みを襲って驚かせようとしたら、逆に私が襲われる立場になっていた。

 この時は寝ぼけてたんじゃないかと思ってたが、体を重ねるうちにあれは未来の意思でしたことなんだとわかった。


 徐々に。本当に徐々に攻守逆転していき、やがて完全に私がされる側になっていた。

 私自身それが嫌じゃないって思うのがちょっと怖い。


 そして今日もまたされる。


「今日はおもちゃ使ってほしそうな顔してるね」


「してないし」


「い〜や。それはブルブルするやつでめちゃくちゃにしてほしい顔だね。言葉では否定してるけど、私の目は誤魔化せないよ」


 たしかに私は今未来が言う通りそういうやつがいいんだけど……。


「そんなことより今日は私がスる!」


「え〜。そんなこと言って、結局この前も私がシてなかった?」


「そんなこともあったかもしれないけど……。今日から私が襲う側の人間になるから」


「え。なんで? 私なんか間違ってた? 昨日シた時は嬉しそうに声上げてたのに……」


「いや未来はなんも間違ってないよ」


「……もしかして私に襲われるのが嫌になったの?」


「いや嫌じゃないっよ? 逆に嬉しいよ」


「じゃあなんで私が襲われる側にならないといけないの!」


 未来は私が言ってることに納得できないのか、む〜っとほっぺを膨らませて睨んできた。


「それはなんというか……ちょっと前まで私が襲ってたから、その時のプライド? 的なやつ」


「あなたのプライドなんて、そんなの知らないから。私は容赦なく襲うから覚悟してね?」


「えぇ……」


 顎に手を添えて、見下されてる。これは俗に言う顎クイっていうやつじゃ? 

 すごいSっ気ムンムンなんですけど。

 嫌な予感……。


「あっ! そういえば、この前言ってたアレ届いたんだよね。ちょっと待ってて」

 

 突然嬉しそうに立ち上がり、戻ってきた未来の手に持っていたのは棒状の玩具おもちゃだった。先端が丸く大きくなってて、スイッチがあるアレ。


 あんなのを持ってきて何するつもりなんだろう。

 まだ昼間なのにまさか、ね?


「咥えて」


「え」


 眼の前にあるのは玩具。

 未来は一体何を考えてるんだ?


「早く咥えてくれないかな?」


「はいぃ……」


 逆らうと面倒なことになりそうだったので、渋々咥えることにした。

 口を思いっきり開けて、ようやく咥えることができる大きさ。


「んふふ。いい子いい子」

 

 玩具を咥えさせられて、抱き寄せるように頭を撫でられてる。今、どういう状況なのか説明しろと言われても絶対できない。それくらい意味がわからない状況。


「よぉ〜し。じゃあここらへんでっと」


「んぐぐぐぐ!!!!」


 スイッチを入れられた。小刻みな振動が顔全体に響いて気持ち悪い。玩具を口から出そうとすると、未来がゴミを見るような目で見てくる。


 我慢しないといけないのかな?


 また未来が褒めてくれるんじゃないかと思い、耐えることにした。


「可愛いぃ〜! 可愛いぃ〜!」


 なんでこんなことして可愛がられるんだろ。

 ま、嫌じゃないからいっか。


 少しして、さっきまで可愛がってくれていた未来は興味がなくなってしまったようだ。


 そんなつまんなそうな顔をされても……。


「じゃあこれ使うからそこに寝そべろうか」


「はひっ」

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いつの間にか攻守逆転してました でずな @Dezuna

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