創作なんか
「嫌ならやめれば?」って言われた
それが赤の他人とかなら良かった
けどそう言ったのが憧れの人だったから
言い返すにも言い返せなかった
もう僕は創作なんてやめてしまいたかった
僕がどれだけ時間をかけて書いた傑作だって
誰も読まないから
誰かの目に止まるほどの作品は創れなかったから
絵や漫画に勝てるだなんて思ってない
けど傑作と言えるはずの作品が読まれないなんて
有り得るわけがないと思ってた
それを僕は認めたくなかったんだ
それでも現実は嗤う
閲覧に並ぶのはただ冷たい0の字
遠回りに「興味無い」と言われた気がして
それなら願い下げだと筆を折った
味方などいないと思った
だからかけられた言葉を斜に見た
ことある事に「僕の作品なんて」と繰り返した
数字が全てを表していたから
絵や漫画に小説は勝てない
早期消費が至上の現代社会において
小説っていうジャンルはあまりに重すぎた
周りが寄る絵に内心唾を吐いていた
最悪だった
あの夜、僕は間違いなく0だった
そういう僕に誰もが愛想を尽かした
今出来上がったはずの傑作は埃を被った
そう遠くない昔の話
今だってあの頃とそう変わりない
小説ってもんは相変わらず読まれず
僕の小説なんかもう誰の心にも残らないけれど
それでも書いてるのは自身の鬱屈を晴らすため
あの日抱えていた報われなさを浄化するため
それに誰がなんと言おうが構うものか
そうでもなきゃ創作なんかやってらんねえ
そう嘯いて蹴り飛ばした地面の石っころが
側溝の穴に落ちて、遠く水に落ちる音がした
その音が何故かずっと耳を離れなくて
その音を今でもずっと探し続けている
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