学園……それは甘美な響き

「うー、げほげほ」


浴場で叫び、母親から「五月蝿いわァ!」と怒鳴られた俺は、痛む喉を摩りながら自室を探した。


「まさか、


栞に声を掛けられたとき、


「何か主人公的な? ほら、よくあるじゃん」


で済ませようとしてた自分を叱りたい。


でも、なるほど。


だから、手も井口のものになって、綺麗になっていたのか。


「なるほどなぁ……って、この部屋か」


俺ーー井口 新の部屋は、2階最奥に位置していた。


ドアに「新」というかわいいプレートが掛かっている。


「お邪魔しや〜っす」


ガチャ。



デリバリーみたいなノリで入った井口の部屋はーー。


「は? え? ・・・・・・?」


ホテルのスウィィートルーム並に、整えられていた。


ニ○リで買った筈なのに、純白に輝くベッド……。


現実での俺と同じ種なのに、此方は使ってる木が檜みたいな本棚や勉強机……。


「いや、これはおかしいだろ」


腕を組んで、うんうんと唸る俺。


井口のホテル部屋を味わっていたそんな時、ふと机上のプリントに目が付いた。



そこには大きく、『灯籠学園』と書かれておりーー。


「へー、学園か。良い響きだ……って、は?!」


宿神宮 理玖かみや りく姿

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