学園……それは甘美な響き
「うー、げほげほ」
浴場で叫び、母親から「五月蝿いわァ!」と怒鳴られた俺は、痛む喉を摩りながら自室を探した。
「まさか、俺が井口になるなんて……」
栞に声を掛けられたとき、
「何か主人公的な? ほら、よくあるじゃん」
で済ませようとしてた自分を叱りたい。
でも、なるほど。
だから、手も井口のものになって、綺麗になっていたのか。
「なるほどなぁ……って、この部屋か」
俺ーー井口 新の部屋は、2階最奥に位置していた。
ドアに「新」というかわいいプレートが掛かっている。
「お邪魔しや〜っす」
ガチャ。
※
デリバリーみたいなノリで入った井口の部屋はーー。
「は? え? ・・・・・・綺麗すぎない?」
ホテルのスウィィートルーム並に、整えられていた。
ニ○リで買った筈なのに、純白に輝くベッド……。
現実での俺と同じ種なのに、此方は使ってる木が檜みたいな本棚や勉強机……。
「いや、これはおかしいだろ」
腕を組んで、うんうんと唸る俺。
井口のホテル部屋を味わっていたそんな時、ふと机上のプリントに目が付いた。
そこには大きく、『灯籠学園』と書かれておりーー。
「へー、学園か。良い響きだ……って、は?!」
我らが宿敵、
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