第15話 真泉先輩のご指導
「失礼します」
私はいつも通り真泉先輩の寮に入り、挨拶をしてから魔法訓練を始める。
「今日もいつも通り、魔力の威力を上げるか....」
訓練用の機械に手をかざし、早速訓練を始める。
『おかえりなさい! 今日でレッスンを始めて30日経ちました! おめでとうございます! そのご褒美と言っては何ですが、新たに訓練項目を追加します! より強くなれるように頑張ってください!!』
機械の話が終わると、newと書かれた新しい項目が追加されていた。
「魔物対処実証訓練か......」
私がしばらくそれと睨めっこしていると、真泉先輩が帰ってきた。
「おー! 追加されてんじゃん! それカージェに備えた体験型訓練だから楽しいよ!」
画面の新しい項目を見た真泉先輩は楽しそうに勧めてくる。
「わかりました。じゃあちょっとだけ....」
そう言ってそこをポチっと押すと、『ゴーグルを着用してください』と言われた。
辺りを見渡しても部屋が散らかりすぎていて、どこにあるかさっぱりわからない。
「先輩これゴーグルが必要なんですけど、どっかにないですか?」
ソファーに寝っ転がっている真泉先輩に質問すると、
「ああ、ゴーグル壊れちゃったから付けずにやってー」
と意味不明な言葉が返ってきた。
「え......これゴーグル無いと起動すらしないですよ」
「えぇーー?! そうなの?! 私が使ってた頃には出来てたのに.....」
いったいこの人はいくつからこんなバカげた訓練をしてるんだろう..いくつ
「オッケー、じゃあ私がゴーグル無くても動かせるようにしとくから、今日は他のやっておいて」
「わかりました」
そのまま私は訓練を選ぶ画面に戻り、いつもやってる訓練を選ぶ。
『魔力砲弾圧迫量ですね! では次にくる指示に従ってください!』
【今からこの画面内に数字が出ます。それと同じ力で魔力をぶつけてください】
「は....?」
なにこれ?! 今までこんなんじゃなかったのに....。
【では行きます......3、2,1,スタート】
「ちょっ?!待ってっ!!」
〇●〇●〇●〇●〇●〇●
「お疲れー。おぉー!美雷ちゃんの汗で服が透けてるぅ。エッチだねー!」
ニヤニヤした顔でこっちを見てくる真泉先輩。
「あの機械....急にメニューがきつくなったんですけど。どういうことですか?」
「いやー、最近美雷ちゃんが余裕そうな顔で訓練をこなしちゃうからさ。意地悪したくなっちゃったー!」
「はぁ....わかりました。シャワー浴びてきます」
「私はそのままでも構わないけどねー!」
「......私がシャワー浴びてる間なんかしたらキレますから」
「承知!」
〇●〇●〇●〇●〇●〇●
ジャァァァァーーーー!!!
「そういえばあと3日でテストがあるんだっけ。......そこでまた向井さんとの実力の差が更新される。なんとしても追い抜かないと....」
テストでは色んなものが更新される。最もわかりやすく変動するのは、クラス、ランキング、制服、そして授業構成である。
制服は今年のテストから導入されたシステムであり、ランキングの上位陣の制服が他の生徒と違う制服になるというものである。
「そういえば、私の前に座ってた人って何してんだろ。あれから一回も学校で見たことないし....。不登校とかかな?久本先生もあの人が来なくなってから急に体調が悪くなったりしてたし....。関係してたりするのかな?まあいいや。とりあえずライバルが一人消えたのは大きいし、この調子で頑張らないと」
頭と体を洗い終わった美雷は湯船に浸る。
「ふぅーーー!!これがないとやってられないよー」
湯船に入ると自然と顔の表情が柔らかくなる。
「もうこの感覚をずっと保ったまま人生を歩んでいきたい......」
疲れてる体に染み渡る最高のお湯。彼女はこれを楽しむためにここで訓練を受けてるといっても過言ではない。
「はやく強くなってマスターにならないと....」
伊藤はしばらくした後、お風呂から上がった。
「上がった?パジャマ姿も素敵だよー。写真とってもいい?」
スマホを片手に尋ねてくる真泉先輩。
「いいですよ、将来自慢にでも使ってください」
「オッケー!! じゃあ行くよー?3,2,1!」
パシャッ!!
後で撮った写真を確認したら、もと居た場所から先輩が一歩引いており、小顔に見せようとしていた。
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