第5話 初授業
キーンコーンカーンコーン
学園に朝のチャイムが鳴り響く。
それに合わせて教室で友達と話していた生徒たちはすぐさま自分の席に戻る。
そして少し遅れて教員が入ってきた。
そういえば俺って昨日行ってないから何もわからない....。
「それでは朝のホームルームを始める。起立」
ガタッ
指示に対して素早く従うクラスメイト。
こんなにきっちりしてるの?俺には向いてないよー。
「礼!」
バッ!!
そしてしっかりと角度90度を意識された礼をする。
「着席」
ガタッ
「ではまず最初に、石川。俺のところに来い」
教員がそう言うとクラスメイトからの視線が一気にこちらに向く。
こわっ!みんななんでそんなに目が血走ってるの?こわいよこのクラス!
「はい.....」
俺は言われた通り教員のところに行った。
「石川、さっそく無断欠席だな。この調子だとランキングが下がるぞ」
「ランキングって何ですか」
「お前はいなかったから説明されてないだろうから言ってやるが、この学園での順位と思え」
「わかりました。俺のランキングっていくつなんですか?」
「それは今からお前のスマホに送信する。送られてきたものの中にこの学園のルール等が記載されている。よく読んでおけ。ちなみに俺の名前は久本だ。1年間よろしく」
話が終わると資料と謎のUSBを渡された。時間のある時に自分のスマホにさして確認しろとのことだ。
久本は俺が席に着いたのを確認すると、話を戻した。
「えー、今日はいきなりだが魔法基礎の訓練を授業に組み込んである。1限目は8時45分から。第一魔法訓練室まで来るように。遅れたら、わかっているな?」
久本は一言忠告すると教室から出て行った。
ふぅー。あの教師怖すぎでしょー。
周りを見てみるとどことなく他の人も緊張が解けているような気がする。
さっそくお友達作りをしようとしたがもう既にグループができている....。
これは1年間ボッチ確定か....?
とりあえずさっきもらった資料でも見よ。えーっとー....。
『学校での暮らし方!!みんなと仲良く楽しく明るい生活を送りましょう!!先生もなるべく頑張っちゃうぞ!』
なんじゃこりゃぁ.....カラフルだし絵文字が散らばってるし字は丸いし.....。
これってあの久本が書いたのか?いや早まるな。そんなわけはない。いいか?そんなわけない。
「ねえねえ」
必死にかみとにらめっこしてると、後ろから声を掛けられる。
「何ですか?」
後ろに振り向いて驚かせないように慎重に聞く。
「君ってさ、昨日ミスドにいた人だよね?今井さんと話してた」
ああ、あの時か。この人も確かにあの子と一緒のテーブルに座ってたな。
「そうだよ。あの子はこのクラスなの?」
そう聞くと彼女は向こうの方を指さした。
「あそこで男女楽しく話してる子が今井さん」
うわー、女にもてそうな男ばっかじゃん。みんなゲラゲラ笑ってるし俺も友達探さなきゃじゃん。
「でさー、そのUSB見せてよ」
「なんでですか?」
「ちょっと気になることがあってね」
「俺が見てから判断するのはダメですか?」
「いいよ。個人情報とかあるかもだしね」
そういって俺はスマホにUSBを差し込む。しばらくローディングがあり、それが終わると、学園の連絡などのアプリがスマホに追加されたのと、もう2つ新しいアプリが入っている。
「魔法師ペナルティっていうアプリと、ニアーマスターってアプリか.....」
「ニアーマスター?ちょっと見せて」
彼女は俺から強引にスマホを取り上げてアプリを眺める。
「オッケー。なるほどね」
彼女の機嫌はいつの間にか誰も引き付けないほど悪くなった。
すると、ピキッ!と何かが割れる音が聞こえた。
すぐに自分のスマホを見ると、彼女の手によって握りつぶされていた。
あー!俺のスマホー!!こんな理不尽なことって今まであったっけ?
この女には近づかないでおこう。
そろりと逃げようと音を殺して歩き始めると肩をつかまれた。ゴリラに。
「なーに逃げようとしてんの。このまま第一魔法訓練室に行くよ。このままじゃ納得いかないから」
「俺に拒否権は?」
「あると思う?」
恐る恐る聞いて返ってきた答えがあまりに予想通りだ。
〇●〇●〇●〇●〇●〇●
「よし、全員揃ったな。ではこれから魔法基礎についての授業を始めよう。君たちが中等部で習ってきた魔法基礎はわかりやすくするためのただの例えだ。高校ではそれをより深めてカージェの対策をしていく」
「先生!質問いいですか?」
ランキング23位 山田龍雅が手を上げ、質問を投げかける。
「構わない」
「ここに集めたってことは実践が多いんじゃないですか?ってことは深めるも何も殻で覚えるってことになりますけど」
「ああ、そういうことだ」
「ですよねー!」
「さっそく実践に入ろうか。まずはここにある機械を一つずつ説明していこうか」
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