第4話 病み期到来

「ハァ、ハァ、ハァ、やっとついた」


進は今やっと学園の門の前までやってきた。


思った以上に遠かったな。


そんなことを思ってると、警備員に声を掛けられた。


「おいおい君ー!こんなところで何してるんだい?もうみんな帰ったよ?」


は?みんな帰った?この警備員、相当な嘘つきだな。解雇させた方がいいんじゃないだろうか....。


「俺、ここの新入生なんですけどー」


「あちゃー、残念だねーもう始業式も終わってみんな帰っちゃったよー」


待て待て待て


遅刻ならまだしも欠席とか....マジでヤバスギ。


「あのーどうにかできないですかねー?警備員の権利とかで...」


「そんなのないよー、ごめんねー」


帰ろうか。


進は門に背を向けて歩き出した。


「大丈夫。登校初日から行けば大丈夫だ。どうせ自己紹介くらいしかしてないでしょ。大丈夫大丈夫」


家になるべく遅く帰るためにミスドに寄る。


なぜ家に遅く帰るかというと居心地が悪いから。


「いらっしゃいませー!!」


財布はー.....600円か。


「じゃあ、これとこれください」


俺はカウンターに並んでいるドーナツの中から手前のチョコがかかったものと中にクリームが入ってるものを注文した。


「2つで340円になります!!」


支払いを完了し窓側の席へ座る。


このお店初めて来たけど、意外と学生が多いな。しかも俺と同じ制服だ。


「なるべく母さんには会わないようにしよう」


朝は母さんより早く起きればいいし!魔法で透明になればいいし!


窓の向こうを見てると、ある女の子に話しかけられた。


「ねね!こんにちは!」


誰だこの女。


「君今日始業式来てないよね?あとクラスにも」


「行ってない」


「なんでー?いろんな重要情報喋ってたのにー。明日からもう始まるらしいよ!学校!」


そんなこと喋ってたの?!まずいじゃん...。


「よかったらメールで教えてあげよっか!連絡事項」


「マジで?助かる」


俺はカバンに入れていたスマホを取り出し、例の女の子の連絡先を追加する。


「...今井奈菜」


本名か?今時本名だなんてナンセンスだな。


「あっ!来た来た!えー......僕をこの下等な豚!と罵ってください(by 明里)」


は?ちょい待ち。


「あっ!私友達と来てるんだったー!ま、またね!ぶ、豚....くん」


慌てながら俺の前から姿を消す女。彼女は俺のことをこうとらえただろう。


『関わってわいけない人だ』と、


〇●〇●〇●


「た、ただいまー」


あれ?家ってこんなにも静かだったっけ?


もう夜の8時なので家族全員家に帰ってきてるはずなんだけど。


恐る恐るリビングのドアを開けると、母さんが椅子に座っている。


横には家の電話が置いてある。


「いやー、今日新しい友達と遊んでてさー!いつの間にか時間がたっててこんな時間になっちゃったよー!時間って怖いなー!まったくー!」


「ならその友達に今度お礼しないとね。登校すらしない不良息子と遊んでくれてありがとうってねー!!!!」


「ちょっと待って母さん。兄さんは悪くないから。私たちを起こしてなかったら間に合ってたし、朝喧嘩もしちゃったし。遅れたのは私たちのせいだから」


母さんが切れてるところに明里がきて俺の潔白を証明してくれている。


やっぱり最高だな。妹というものは....。


「なあ明里、お願いだからベッドに潜ってくるのやめようか?」


「うっさい!バカ兄!!」


そう言い捨てて明里は自分の部屋に戻ってしまった。


「事情はわかったわ。けど次からは本当にしっかりしなさいよ?あそこ金持ちがほとんどなんだから」


「俺たちだって大分いい方でしょ」


「上には上がいるの。学校で問題とか起こしたら飯抜き生活だからね!」


「はいはい」


耳が痛くなるまで説教された後のお風呂は最高だ。


「気持ちー」


家がこんなに広くて風呂も馬鹿でかいのになんでメイドは雇わないのかなー。一人いるだけで大分違うと思うんだけどな。




お風呂から上がってスマホをいじってると、今井奈菜から連絡が送られてきた。学校の行事予定のことだろう。


『こんばんわ!今日は会えてうれしかったです!!明日から学校はあるそうなのでスマホとミラーグラスを持参!以上です!』


ミラーグラスって何?


丁度部屋に明里が入ってきたので聞いてみることにした。


「なんで俺の部屋に入ってきた?」


「は?洗濯物渡しに来ただけですけど」


「ところでミラーグラスって何?」


「兄さん、そんなことも知らないの?ミラーグラスは目を魔法から守るための防具でしょ?」


「家にあるっけ?」


「私と由良は予備合わせて2つずつ持ってる」


「できれば1個貸してもらえない?」


手と手を合わせてお願いする進。


「えっ?私のを?別にいいけど、丁重に扱ってよ?壊したら承知しないから」


「大丈夫。どうせ当たっても壊れないようにできてるでしょ」


「どうだか」

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