第3話 新しい学校生活
「新入生!起立!礼!」
前に立っている教頭の声が体育館に響く。
「「「おはようございます!!」」」
2510年4月1日、今日はこの超名門校『冥創高等学園』の始業式。この学校は惑星『カージェ』の魔物を撃退するための人材を育てる施設である。
「諸君ら、まずは入学おめでとう。今ここに来れているのは諸君らの多大まれなる努力の力だ。我々教員もとても嬉しく思う。どうかこの学園生活を楽しんでいただきたい。もちろんこれから先、大きな壁に当たったり、辛い時がくるかもしれない。しかし諸君らにはそれを乗り越え、一人前の『マスター』になってほしい。その為には我々の力をなんでも貸そう。我が校は数々の凄腕『マスター』を育ててきた。なので信用しきってもらって構わない。ゴホンッ!では改めて、入学おめでとう!」
教頭の生徒へ向けた熱い挨拶が終わると、生徒たちや両親たちから熱い拍手が送られる。
教頭の挨拶が終わると、別の教師がステージの上へと上がる。
「どうも。私はAクラス担当の久本伸自だ。今から君たちのスマートホンに君たちが配属されるクラスを送ろう。確認したらスマートホンにある校舎のマップを確認しながら自分のクラスに向かってくれ。スマートホンを持っていない人はここに残りなさい」
久本がマイクのスイッチをOFFにすると、体育館にスマホの通知音が鳴り響き始めた。
ピロン!
「おっ?Cクラスだ」
あるものはCクラスへ。
ピロン!
「私はAクラスね」
あるものはAクラスへ。
ピロン!ピロン!ピロン!ピロン!
次々に自分のクラスが発表され、それに興奮を隠しきれない生徒たち。
生徒たちはいてもたってもいられなくなり、スマホで学校のマップを見ながら走り出した。
ドドドドドドドドドッ!!!
あっという間に体育館は静かになった。
「残ったのは3人か。では君たちには学校からのプレゼントだ」
そう言って、久本はその3名に最新型の『エリートスマートホン』を渡す。
「「「えっ?!」」
案の定名前に驚く3人だが、スマホとほとんど変わらないのでそのままクラスを確認して走り出した。
「ふぅー、疲れた」
久本は誰もいない体育館で1人息をついた。
〇●〇●〇●〇●〇●
Aクラス
ざわざわざわ...
何もわからずとりあえずクラスに走ってきた生徒たち。
そのクラスには約40人の生徒たちがいた。
ある人はもともと知り合いだった人と喋り、ある人は独りで本を読んでいたり、
前のスクリーンに自分の名前と出席番号、それともう1つ数字が書かれていた。人によって書かれてる数字は違っていた。
生徒たちのほとんどは前に集まり、スクリーンをじっと眺めている。
すると、突然前の扉が開き、久本先生が現れた。
「席につけ。さっそくオリエンテーションを始める」
「おぉっ?!」
生徒たちは驚きつつも席の方に戻っていく。
「もう始業式で挨拶したと思うが、久本伸自だ。今日から1年間このクラスの担任をする。よろしく。早速だがみんなが気になったであろう自分の座席と一緒に書かれた数字について説明しよう」
そう言って、スクリーンを別の画面へと変える。
「この数字は自分の学園内での価値を示すものだ。いわゆる『ランキング』だ。1と書いてある生徒は現在、Aクラス12番、後藤康太。2と書いてある生徒はAクラス34番、向井桜。このように自分の価値がこの数値にあらわされる。もちろん昇格もあれば落第もある。あくまで自分の価値があらわされるだけなので最下位が卒業できないなどはないが、将来良い『マスターベース』には入れないだろうな」
疑問を持ったある生徒が久本へ質問を投げかける。
「どうやったら昇格でどうやったら落第するんですか?」
その質問を聞いて久本はニヤッと笑う。
「いい質問だ。まず昇格は魔法技術、それから勉学、授業態度など日常生活での面でも判断していく。逆に落第はそれに反する行為だ授業態度が悪かったり、態度が悪かったり。それ以外に質問は?」
久本は質問がないことを確認し、また別のスクリーンに切り替える。
「では今からAクラスのクラスメイト全員で自己紹介の時間をとる。全員の前でやるのは恥ずかしいと思うから、気になったやつと話し合え。話しかけなくてもいいがそれでは友達はできないぞ?」
そこから10分ほどAクラスで賑やかな時間が流れた。
「ねね!私、今井奈菜っていいます!よろしく!」
「えっ?ああ、よろしく....」
「あなたの名前は?」
「私は斎藤美穂です...」
「美穂ちゃん!よろしくー!」
といったようにコミュニケーションが得意な人が積極的に話すような形になり自己紹介はスムーズに進んでいった。もちろん話してない生徒も多くいる。
「自己紹介が済んだら今日は解散でいい」
そういって久本は教室から出て行った。
そういえば、私の前の席の人来てない.....。どうしたんだろ....。
「伊藤さん!みんな帰ってるよ?よかったら一緒に帰らない?」
「今井さん、いいよ。一緒に帰ろっか」
「うん!よかったー!断られてたら私メンタル崩壊してたかもー!」
「何それ」
頭悪そうな発言にふっと微笑む伊藤。
「そういえばこの前この学校について調べたんだけどさー、上からランキング順のクラスになってるらしいよー!やばくなーい!?」
「どういうこと?」
「だからAクラスはランキング上位40名が配属されてて、Bクラスは41から80までって感じ?」
「それホントなの?」
「あくまで調べただけだから嘘かもしれないしー、ランキングなんていらないのにね!」
「まあ私はランキング5位だしこの調子でいけば1位は確定だよ」
「ええー?!伊藤さんってそんなに高いの?!私なんて12位だよー!!」
「ふっ、がんばれー今井さん」
「あー!腹立ってきた!あそこのミスド行くぞ!」
そう言って伊藤の手を強引に引っ張る今井。
「えっ?!ちょっ!」
伊藤はそのまま店の中へ連れていかれた。
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