第17話 寝取った奴と密会
「……男装癖でもあるのか?」
「ないっての! こんな所学校の連中に見られたら誤解されるでしょ!?」
「まぁ、そうか……」
休日の駅前。
遊馬は青葉と待ち合わせをしていた。
青葉は以前ホテルに入って行った時と同じ帽子を目深に被ったパンツルックだ。セミロングの髪もしまってあるから、ぱっと見には中性的な顔立ちのイケメンに見える。
「……悪いな。こんな事に付き合わせちまって」
「ほんとだって。恋敵と休日に二人でアダルトショップでお買い物とか意味不明過ぎるから」
青葉の話では、世の中にはチョメチョメの時に使う便利な道具が色々あるらしい。
青葉自身、性欲オバケの雫を満足させる為に道具の力を借りる事があるとか。
それを使えば、遊馬も少しは雫とのレベル差を埋められるかもしれない。
だが、遊馬はその手の知識に疎かった。種類も豊富で、なにを買ったらいいのか分からない。買おうにも、その手の店は未成年お断りが多いという。
通販は家の人間にバレるかもしれない。困っていたら、青葉が未成年でも道具を買えるいい店を知っているという。
でも、一人で行くのは恥ずかしい。青葉は雫と寝ているし、一緒に来てくれたら心強い。そういうわけで無理を言って同行して貰ったのだ。
ちなみに違法な店ではない。他のアダルトショップが全部まとめて十八禁にしている所を、未成年でも買える商品は別にして売ってくれるだけである。
店は青葉が雫と入ったホテル街の裏手にあるという。
疚しい事はないはずだが、そんな所を青葉と並んで歩いていると妙な気分になる。
遊馬の遊馬も落ち着かない様子で、半分程顔を上げてパンツの中でそわそわしている。
「……てか、この事ちゃんと雫に言った?」
「いや、言ってない」
「はぁ!? 言いなよ!? 万が一こんな所見られてまた誤解されたら嫌なんだけど!?」
そもそもあれは誤解ではないが。
「大丈夫だろ。雫ならちゃんと話せばわかってくれる」
「そうだろうけど、だったら最初から言った方がいいって話し!」
青葉の言い分はもっともだ。
けれど遊馬の頬は不満そうに膨らんだ。
「……だって雫の奴、一方的に俺の事をいかせるんだぞ? 俺だって雫の事を気持ちよくさせたいのに。それで可愛いでちゅね~とか言って、赤ちゃんみたいに扱うんだ。……嫌ってわけじゃないけど、俺にだってプライドはある。だから、仕返しにサプライズで用意したいんだ。奇襲作戦さ」
「……いや、そっちのプレイ内容とか知りたくないから」
ドン引きの顔で青葉は言う。確かにクラスメイトの女子に言う話ではないが、それについては開き直った。だって青葉は雫と寝ているのだ。チョメチョメアドバイザーでもあるし、今更だろう。
「……俺は知りたい。やっぱり俺と青葉だと、雫のチョメチョメは違うのか?」
「し、知らないって! そっちの様子は見てないし!」
「けど、雫から聞いたりはするだろ?」
「……まぁ、親友だし」
遊馬の頬が一回り膨らんだ。
「……俺は聞いてない。ズルいと思う」
「し、雫に聞きなよ!」
「雫の意見は参考にならない。優しいから、俺に気を使って誤魔化すに決まってる」
「そ、そうだろうけど……」
「そんな言えないような事をしてるのか?」
遊馬の頬はますます膨らんだ。
青葉が雫と寝るのは仕方ない。現実問題、雫の性欲を満たすには青葉が必要だ。それはいい。雫の性欲オバケは体質なんだから我慢しろなんて言えない。満足させられない自分が悪い。
でも、それはそれとして、遊馬だって人間だ。男として、彼氏として、嫉妬くらいはする。どんな事をしているか知る事が出来れば、目指すべき目標も明確にもなる。
「そ、そりゃそうでしょ! チョメチョメの話なんだから、なにしたって人には言えないって!」
「そういう話じゃないだろ!」
「お、怒んないでよ! じゃあ、一個だけだよ!」
別に怒ったわけではないのだが。
観念すると、恥ずかしそうに青葉が囁く。
「あ、赤ちゃんプレイなら、あたしもしてるし。雫はするのもされるのも好きだから……。でも、特に終わった後に相手を甘やかすのが好きで、おっぱい吸わせながらバブらせてくれるの……これでいい?」
照れ隠しの怒り顔で青葉が睨んでくる。
な、なんだってー!?
遊馬の遊馬は起き上がった。
遊馬自身は安心していた。
「……こっちも同じだ。そうか。俺だけじゃなかったのか」
遊馬としては、自分が不甲斐ないから赤ちゃん扱いされているんじゃないかと不安になっていた。青葉の話を聞く限り、相手は関係なく、雫が好きなプレイなのだろう。
そういった不安を解消できると思えば、青葉の存在は頼もしくもある。
「あ、あたしは滝沢と違ってされるだけじゃないから! ちゃんと雫の事もバブらせてあげてるし!」
「その胸でか?」
他意はない。雫がそういう事をして来る時、やたらと胸を吸わせたがる。けれど青葉には吸わせる程の胸がない。下手したら、遊馬の方が大きいくらいだ。だから純粋に不思議だった。
青葉が涙目になって拳を構えた。
「ま、待て! 今のは失言だった!」
「ノンデリ! バカぁああ!」
ボカボカと殴られる。
当然だ。遊馬は甘んじて受けた。
「うぅぅ……あたしだってね! 好きで貧乳に生まれたんじゃないし! それに雫はこんな胸でも一生懸命ちゅぱちゅぱ吸い付いてくれるもん!」
「わ、悪かったって!? こ、声がデカいぞ!?」
休日の真昼間にそんな事を叫んでいたら嫌でも目を引く。
青葉も正気に戻ったのか、真っ赤になりながら二人で早歩きでその場を去った。
落ち着くと、思い出したように青葉が言ってくる。
「……てかさ、もしかしてあたし達、雫のおっぱい越しに間接キッスしてる?」
言われて遊馬はギョッとした。
「……いつもどっちを吸ってる?」
「左」
「俺は右だ」
「「……セーフ」」
その後すぐに、二人とも雫とキスをしている事に気付いた。
†
「へっくち! うぅ、風邪かなぁ?」
その頃雫は自宅でビーフシチューを作っていた。
夕方ごろに遊馬が遊びに来てくれるので、好物を作って驚かせようと思っていたのだ。
他にもローストビーフとアボカドのサラダも用意している。チントレとチョメチョメで、遊馬のアレが薄くなっていると感じていた。ちゃんと避妊しているので濃さなんかどうでもいいのだが、あんまり出しすぎると体に良くない気がして、精のつく食材をネットで調べて用意したのだ。
チントレなんかしないで、全部自分に出してくれればいいのに。勿体ないと思いつつ、こんな変態女の為に頑張ってくれる遊馬の気持ちが嬉しい。だから沢山愛したい。チョメチョメは勿論、それ以外でも。こんな事になる前からそう思っていたし、手料理だって作っていたが、今は以前にも増して気持ちが入っていた。
好き好き大好き超愛してる。
ラブラブチュッチュで愛したい。
雫はMのつもりだったが、性的に初心な遊馬を前にすると、不思議とSっぽくなってしまう。サービスのS。いろんなご奉仕をしてあげたくなる。
チョメチョメは体力を使うし、マッサージでも勉強しようかな。
……世の中には性感マッサージという物もあるらしいし。
……あんあん喘ぐ遊馬君、可愛かったなー。
……また青葉ちゃんに手伝って貰って練習しよう。
……青葉ちゃんにも沢山お世話になってるし。
……クールな青葉ちゃんが喘いでる姿も可愛いし……。
ごくり。
気づけば雫の手は切なそうに下の方へと伸びていた。
幸い、料理の準備は全部終わった。
あとはコトコト煮込むだけだ。
ちらりと時計を見る。
約束の時間はまだ先だ。
だめだよだめ!
折角遊馬君とチョメチョメするんだから、我慢しないと!
……でも、遊馬君はまだまだ初心者だし。
変に我慢してムラムラモードでするより、適度にガス抜きをしておいた方がお互いにいいはずだ。
私だって遊馬君にばっかり頼ってないで、自分から気持ちよくなる努力をしないとだよね!
そんな言い訳を頭の中で済ませると、雫はソファーに寝そべり下着を脱いだ。
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