第30話 メインシナリオ崩壊 その3
????視点
タロスが転移したのを確認したあと、私は隠密スキルを再度使用した。
そして──、
オークキングと私の戦いは時間切れとなった。私の足元に転移の魔法陣が描かれ、一瞬にして、ダニアの森の外へと追い出された。
私はスカウトスキル気配察知を行い、周囲を確認した。誰もいないのを確認したあと、素早くスカウトスキル、変装を解いた。顔を覆い隠す長い黒髪から金髪ツインテに、黒い瞳を碧眼に戻した。白い貞子衣装のワンピースと武器もスカウトスキル、装備変更を行い学生服と鞄に戻した。
明日も学園に行かないと行けないのに本当に今日は疲れた。タロスにはエリザと同じようにスカウトスキル、マーキングをつけて置いた。
簡単に説明すると強制お友達登録と言うもので、スカウトレベルが高いと、こうやって『ブック』と唱えて、この見えないブックのような画面が宙に浮かび上がる。これをパラパラとめくる。何人かは登録しているけど、まずは、タ行にあるタロスを選択する。タロスが今どの場所にいるのかが分かる。ストーカ様必須のスキルとも言える。きっと火の聖なる王子様は所持していたから、ヒロイン様が逃げてもすぐに捕まったんだろうね。リアルだと隠蔽スキルのレベルを上げれば防ぐことは可能になるんだけどね。
防ぐ事ができないタロスの居場所は手に取るように分かる。タロスのマーキングが移動しているようだ。彼の仲間がタロスを見つけて保護したのだろう。
私の武器サイレンスダガーは、ターゲットに一定の確率で身体を痺れさせ、またスキルを一定時間封印するデバフの効果も与える。タロスが使用できる回復スキルもすぐには使用できないはず、タロスが万全の状態に戻るまで二、三日はかかるはずだ。あのバグであるタロスは、野放しにはできない。彼の動きには注意しておこう。
私はダニアの森のお弁当屋に寄ることにした。ここの唐揚げ弁当は前世を思い出させてくれる大好物のお弁当だった。いつものおじさんにお金を手渡し、お弁当をもらった。そして、私は女子寮に戻った。
次の日、学園にクライブが登校することになった。メインシナリオ通りになって安心したのもつかの間、彼は私のクラスでなく、隣りのクラスメートになっていた。それだけではなかった。クライブがタロスの席に座っていたのだ。
タロスのことを、そのクラスに在籍する友人に尋ねたところ、昨日、タローがダニアの森で黒いお化けのような人型モンスターに襲われたらしい。タローは重症になったそうだ。彼の復帰の見所は難しい、とのことだった。
おい、タロス、黒いお化けのような人型モンスターってなによ。確かに自分もエリザルックはアレだと思うけど、人間すら思われていないのが私にはショックだった。変装スキルに関しては想像力が必要だから、たしかにエリザルックをこれでもかって、進化させて貞子さんをイメージして、リアルに、やりすぎたのが原因だったかもしれないけど、少しは加減して変装しようかと私は思った。
そして何日か過ぎて、今日も私はタロスにつけていたマーキングを確認する。
マーキングが移動している。またタロスがメインイベントに乱入するのだろうか。
さてとその前に……、
私はお花を摘みにトイレへと向かった。
ああー、最悪だ。私はとんでもない目にあっている。隣のトイレから喘ぎ声が聞こえてくるのだ。どうやら、隣のトイレでナニってる変態がいるようだ。この声の主はたぶんエリザだ。やはり彼女は淫乱で変態だった。なるほど、彼女は聖女にふさわしい。是非、このまま聖女になってもらおう。私はトイレの中でそう思った。
オンラインRPG乙女ゲーム(R18)の悪役令嬢に転生した私は槍で無双する、絶賛メインクエスト崩壊中!! 眠れる森の猫 @nekoronda1256hiki
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