第29話 メインシナリオ崩壊 その2

 ????視点


 学園の授業が終わり、放課後になった。私はダニアの森に向かった。今日も何も起こらなかった。やはりメインイベントが狂ってるの?


 つい最近の話になるけど、大型アップデートイベントがこの乙女ゲームで配信されて、エイリアスのサブストーリーが追加された。


 この森でアリスティア王女が殺されるはずなのに、イフリートでそんな話が一切出てこなかった。まだこの時期ではないのかもしれないけど、さらに森の奥へと進んでいく。


 突然、紫色の結界に私は囚われた。これはユニークモンスターと接触した場合起こる現象だった。


 私はスカウトスキル、隠密MAXを使用した。あれから私はスカウトスキルを向上させた。今の私の隠密を見破れる者がいたとしたら、強制イベントのメインボスぐらいだろう。


 引き続き森を探索すると、オークキングを見つけた。獲物を求め徘徊しているようだった。私には全く気付かない様子だった。このまま奇襲攻撃(先制)→急所攻撃(必殺)→即死攻撃をしたいところだけど、ユニークモンスターやイベントキャラには即死無効が施されている。


 鑑定をしても、オークキングのステータスが見えない。これは私よりステータスが強いということだ。


 このゲームではユニークモンスターとの戦闘は、倒せないまま一定の時間が過ぎると強制的にプレイヤーは結界から追い出されてしまう。そして安全地帯にワープさせられる仕組みになっている。ようするに、今回は残念でしたね。ユニークモンスターへの挑戦権は次の人に代わります。あなたは時間切れです。だから退出してくださいと言う感じかな。制限人数は何人までかは知らないけど。


 私のスカウトレベルでは、このオークキングをソロで倒せるかどうか分からない。うまく攻略すれば勝てると思うけどゲームとは違う。命をかけてまで、この敵に挑むのは無謀だった。私は隠密を使用したまま時間制限がくるまで足を休めることにした。


 数分後、草を踏む音が聞こえた。その方向を見ると、タロスがいた。どうやらタロスも結界に閉じ込められたようだ。


 こいつ、ミカエルのかわりに席に座ってるし、本当に、一体なんなの? タローという偽名を使っていることもあるけど……


 すぐ近くにオークキングが徘徊している。このまま進むと確実にタロスはオークキングとエンカウントする。スカウトスキル、鑑定を使いタロスのスキルを詳しく見ることにした。回復系と闇属性特効の攻撃スキルしかない。そのレベルだとオークキングの相手すらならない。死ににいくようなものだった。


 なぜ、こいつはここにきた、最弱のときといい、自殺志願者なの? うん? 私はなにか重要なことを忘れているような気がした。こいつの所持しているスキルって光の聖痕継承者のスキルでは?


 って、まさか、あの時、最弱にこいつは殺されて……、そして、ミカエルに光の聖痕が継承されたのでは……、えりざのばかあああああああ!! 


 まさか、今、この森で殺される事になってるアリスティア王女の代わりにこいつが来たの?


 いやいや、これ以上……メインイベントが変わると、もう何が何だか意味がわかんないだけど……。


 というか、こいつが、ここで死んだらダメじゃない? これってバグなの? だめだって、あんたがここでアリスティアのかわりに死んだらダメだって!! そっちいったらだめだって!! おい、逝くな、イキロオオオオオ!!


⭐︎⭐︎⭐︎


もう、「なんなの、ほんと、あんた、バグなの? もう、これ以上、イベントの邪魔すんな!!」


 私はブチ切れて思わず怒りの声をタロスに出してしまった。ここでタロスを死なせるわけにはいかなかった。私はタロスの背後に回り奇襲攻撃→急所攻撃→手加減(相手を殺さない)を使用してタロスを背後から襲った。こうしてタロスは戦闘不能になり結界から追い出された。

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