第19話 聖女VS剣聖
これでやっと寮に戻れると思った矢先――背後から声をかけられた。
「お前、もう帰るのか、少し付き合え」
私はエストに声をかけられた。
エスト=トレンド――
私の義弟で俺様系の自信家で戦闘狂でもあった。ヒロイン様はエストに付き添い、彼の傷とアレを癒してあげることで友好度がUPする。
闇の力に支配され、四天王でも最弱に身体を乗っ取られたダークエリザとエストが一騎打ちする場面があって、ヒロイン様は健気にその戦いを見守った。
戦いの末、エリザはエストに半殺しにされて闇を払われた。後に王よりエリザは国外追放処分の刑にされるのだった。ヒロイン様に闇を払われたエリザは、闇の力に支配されていたとはいえ、ヒロイン様達に行った罪を深く反省して、
ダークエリザ(四天王にも最弱)に利用されていたとはいえ、よくない噂が絶えなかった伯爵家当主ものちに断罪され、伯爵家はお取り潰しになった。その後エストは爵位の引き継ぎを断り、自由きままにヒロイン様と旅にでるのが個別エンド。エストは、ヒロイン様を壁ドンしたり、ヒロイン様を壁に押しつけてヤっちゃったりする。壁が大好きな聖なる王子様だった。
「突き合う? わたしと? ま、まさか私を壁につれこむつもりなの?」
「はぁ、お前なに言ってんだ。これだよ、これ」
エストは腰に携えた剣を私に見せてきた。
「お前はアレに勝ったんだろう、俺とヤろうぜ」
「やだ」
もう疲れた。無駄に体力を消耗したくない。帰ってお弁当を食べて、お風呂に入って私は寝る。
「くくく、そうだな、俺に勝ったらお前にいいものをくれてやるぞ」
エストがくれるものって、お店で売れるもの? お金? 食べ物?
「ふん、仕方がないから、突き合ってあげる」
「じゃ、俺に付いてこい、こっちだ」
そして、私はエストの後についていく。
古びた遺跡にあるような門の扉をくぐると、コロシアムのような闘技場があった。そこで私は木の槍を受け取った、彼は木の剣だ。
そして、私達はコロシアムの中央に立った。
彼は剣を構え、私も槍を構える。
「さぁ、やろうぜ、その力を見せてみな」
「ほいほい」
「なんだよ、それは、さぁ、いくぜ」
エストの眼光が鋭くなった。周囲の気配がかわる。洗練された剣筋、一撃、一撃が速く、美しい。だけど私はやすやすと躱していく。
「へぇ、これを躱すか、なら」
さらにエストは速くなった――けど、ほいっと、私は躱す。
「ちっ、なら、これならどうだ、行くぞ」
エストは紫色の闘気を
あの、エストさん、必殺技をつかうなんて私、聞いてないよ? まさか、わたしを本気でヤるつもりなの、そういえば、その技でエリザが切り刻まれて半殺しにされたんですよね。
「電光石火」
雷の聖痕スキルと彼の攻撃スキルを合わせた複合技。
稲妻の様に速く――、そして雷を帯びた
「
――必殺の一撃だった。
さすがに、これはまずい、わたしは、「縮地」を使う。
その一撃を避けエストの背後に回り込み、槍の矛先を向ける。
「はい、チェックメイト」
「こいつを避けるか、ああ、俺の負けだ」
「それで、いいものって、なに?」
「そうだな、聖痕よ、見届けたか、我を超える者エリザに、我の聖痕を継承する」
「はぁ~?」
彼の右手にあった雷の形をした紋章が浮かび上がり、そして消えた。片や私の右手に雷の聖痕が浮かび上がった。
「よっしゃ、これで、俺はあの家から晴れておさらばだぜ、またやろうぜ、次期当主、いや、聖女様よ」
そういって、エストはすっきりしたような顔をしてコロシアムを【自由きままに】出ていった。
「ねぇ、これ、いらないから? ちょっと、まって、ねぇ」
ここが継承の儀を行う場所だなんて私は知らなかった。
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