第18話 光のドレスと神槍ゲイボルグ?

「それならば、あれはどうだろう、宝球を……」


 王が側に控えていた側仕えに何かをを呟くと……、その側仕えは謁見の間を後にした。続いてアリスが王に目合わせして合図を送ると、王はうなずき、アリスも謁見の間を後にした。


 そして――


「君にこれを渡そう、もう一つは娘からのものだ」


「槍ですか? それにこれは鎧のようで……ドレス?」


 それからエイリアスと王は二人でボソボソと話しを始めた。


「父上、アレを渡してもよいのですか?」


「ああ、エイリアスよ、今は彼女がもつに相応しいだろう」

 

「たしかに、彼女なら選ばれるかもしれませんが、でもドレスはいいのですか? あれは……」


「……わからん、アリスがな」


「……とうとう」


「決まるかもしれん」


 なぜか、二人は納得して、うんうん頷いているけど、一体、何の話をしてるんだろう。この槍は全体が赤い、これって、槍職最強装備の本物の神槍ゲイボルグじゃないよね。いやいやいや、さすがにそれはないよね。


 このドレスは、私は目をこすってしまう。あらやだ、これって、よく見ると、ヒロイン様の戦闘装束、光のドレスじゃないですか。闇属性のエリザの私には装備できないから、これは無理じゃないかな。これは私にとって神聖なものでもなく、呪いのアイテムなんですけど、あの……、返品していいですか?


「あの……、これは……、あのですね、ドレスはいらな」


「そのドレスとっても似合うと思いますよ。さぁ、そのシャツは捨ててしまいましょう」


 アリス……、だめだよ。割り込みスキルまで使うなんて、酷い。


「いやいやいや、わたしは、身分相応のトレシャツ最高だから、これは、さすがに、ちょっと、やめて、強く引っ張らないで、あっ、ビリっと破れちゃった、いやああああ」


 それから数分経って――、アリスに更衣室に連れ込まれた私は、無理やり淡い光を発光させるホワイトな光のドレスを着替えさせられてしまった。あの私、装備できてるんですけど、おかしくないですか。


「お綺麗ですよ」


「あ、ありがとう」


 光のドレスの返品は叶わなかった。私のトレシャツはゴミ箱に捨てられてしまった。ここには代わりの服がないから、私はもう諦めるしかなかった。


「ほぉ、見違えたではないか、こちらは決まったか、それで頼みがある。槍を振ってみてくれないか」


「こんな感じですか」


 普通の槍より軽いかな。


「ふむ、重さはどうだ」


「かなり軽いですね」


「ほぉ、それが軽いのか、そうか、そうか、今日は素晴らしい日だな、大事に使ってくれ」


 王は嬉しそうに笑った。


「それと娘とはこれからも仲良くしてやってほしい」


 親として未成年のあの子を聖女候補にしていいのだろうか。なるべく、性なる王子様達から私が守ってあげたい。あまり性なる王子様と関わりたくはなかったけど、クライブ達をロリコンにさせるのも、なんだかね。


「そうですね、仲良くさせてもらいます」


「ああ、君と出会えてよかったよ」


「これらの物は大事につかわせていただきますね」


「再度、礼をいわせてもらおう、ありがとう」


「こちらこそ、どうもありがとうございました」


 この光のドレスは装備対象者のサイズに自動で合わせてくれるらしい。修復機能もあるから、状態が常に保たれて清潔らしいから、私みたいな貧乏にとっては願ってもないものだけど、でも、いつかヒロイン様が現れたら、お返ししないとね。それまではお借りいたしますね。ヒロイン様。

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