第17話 エイリアス=イフリート
そして――
私達は謁見の間に辿り着いた。その扉が開かれると、玉座に座る初老の男性とその横に立つエイリアス王子がいた。
「お兄さま」
「アリス?」
エイリアス=イフリート。
燃えるような赤い瞳に赤い髪をもった火の聖痕の継承者――のはずだった。
今はアリスが火の聖痕を所持している。今の彼は聖痕をもっていない。
聖女候補だったアリスが敵の罠にかかり、命を失ったことでエイリアスは後悔する。
エイリアスルートだと、ヒロインが瀕死、重症化すると、エイリアスはヒロインを監禁、束縛する。エイリアスの好感度が上がると病むを発症してしまい、それ系のイベントが連続して発生してしまう。エイリアスは、私にとって危険人物だった。瞳に影をもった23歳、私より年上だった。ゲームではご褒美なのかもしれないけど、リアルでされるのは
「また、一人で城を抜け出したのか、今は危険だと言ったはずだ、当面の外出は禁じていたはずだぞ」
「それでも………、探さないといけない気がしました。あの時も………、そうでした。火の聖痕から感じたのです」
「………運命の火をか」
「そうです」
なぜか深刻な話を二人で始めてるようだけど、わたし、帰ってもよろしいでしょうか。Eランク冒険者のわたしには、とっても関わりたくない話がされているような気がして、ああ、逃げたい。
「こちらの女性は、うん?」
「銀の聖女候補のエリザさんです。私を救ってくれた方です」
「君が噂のエリザ嬢か、いや、そうだな、無欲か、たしかに噂通りだな」
エイリアスは私を見てかなり驚いているようだった。私の噂って一体なんだろう。このトレシャツを見ていたよう気がするけど、やはり、この場でこの服は、どう考えても場違いじゃないかな。さすがの私でもこの場ではありえないと思うよ。
「あの、すいません、こんなヨレヨレボロボロな服で参上してしまって、(犯人はあなたの妹さんですけどね)」
私は彼に謝罪を入れた。エイリアスはふっと私を見つめながら笑う。なんてことだろう、エイリアスが笑っている。アリエナイ光景をみてしまった。監禁な時でも、いつでも、どこでも、真剣な顔しかしない、あの鉄仮面のエイリアスが……、ある意味とっても怖かった。
「いや、構わないさ。むしろこっちにとっては願ったりだ」
玉座より威厳のある声がした。クライブとエストが片膝をついて頭を垂れる。
私もしたほうがいいのかな、土下座する?
困ったどうしよう、おろおろ。
クライブが、おいおい君はなにをしていると言っているような気がする。
エストはヤレヤレな表情をしている。
「うむ、君はそうだったね、はは、結構だよ、私はあまりそういったことにはこだわらないのでね。普通にしてくれていい」
玉座から立ち上がりこちらへ王が近づいてくる。そして、私の正面に立った。
「君のおかげで娘が助かった。本当にありがとう」
王は私の両手を掴み頭を下げて礼を言う。二人目のイケおじが現れてしまった。
「いえ、その気持ちだけで十分ですから」
だから、帰っていいでしょうか。お気持ちは十分伝わりましたからと、アリスをチラッと見る。目線でアリスにメッセージを送る。わたし、もう帰っていいよね? アリスは少しだけ首をかしげて薄っすら笑みを浮かべ。だーめと言っているような気がした。
「そうだな。娘の恩人にはそれなりの恩賞を渡さねばならんな、土地や金、欲しいものはないのか、出来る限りの報償をだそう」
国王様……!! お金がほしいんです。………だけど、私はエイリアスをチラ見する。お金はお金でも、かん
「申し訳ありません、私には欲しいものがありませんので、辞退させていただきます」
「それなら、貴金属など宝石など、女性が好むものはどうだ?」
貴金属って換金がたいへんだったんだよね、エストからもらった物はもちろん売り飛ばしたけど、さすがに国王様から頂いた物を売るだなんてダメだよね。まだ食べ物のほうがいいなぁ。
「いえ、私にはそれらはいりませんので……」
「噂通りか、困ったな、無欲の聖女の君にふさわしい物は……」
あの……、無欲の聖女ってなんですか? わたし、お金が大好きなんですよ? また何かおかしなネーミングタイトルが私についてくるとか、本当に勘弁してほしいのですけど……。
王は天井を見上げながら考え込んだ。
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