第3話-おんぶ
「ふぅ…結構歩いたな…駅まであと半分くらいだな」
真樹とりんかの家から最寄り駅までかなり距離がある。
自転車通学が出来たら楽なのかもだが、俺の通っている、私立花生学園は自転車通学を禁止している。
少し前までは自転車通学がOKだったが、この辺りの車通りが多く、何度も生徒と車が接触しており、危ないという理由で禁止になった。
そして自転車通学禁止は、学校の地域以外にも適応されていた。
そう、家から家の最寄り駅までの間の自転車通学も禁止なのだ。
(ほんと、訳わかんねぇよ…)
「結構歩いたねぇ〜、疲れちゃったよ〜…ねぇねぇ真樹、おんぶして?」
甘える子犬のように上目遣いでおねだりしてくる。
「無理だ、自分で歩け」
「ちぇ〜…けちぃ〜」
りんかは頬を少し膨らませて拗ねたような表情をし、かなりしょんぼりとしていた。
(…っ!…ほんと、そういう表情すんなよな…)
そんなりんかを見て真樹は、仕方なくおんぶをしてあげる事にした。
「しゃあねぇなぁ…ほいっ…と」
「えっ…きゃっ!」
りんかは、まさか本当におんぶしてくれるとは思ってもいなかったようで、少し驚いた声を上げた。
りんかを持ち上げた真樹は内心かなりドキドキしていた。
美少女の生足、さっきよりも密着している肩、更に背中にふんわりと柔らかいものが当たっている。そして
(さっきよりも甘い匂いがする…)
恋人繋ぎしている時よりも、更に密着しているため、りんかの匂いがかなり強くなっている。
「えへへ、彼氏におんぶしてもらった〜、私、幸せ者だ〜」
「そうか…良かったな…」
真樹は、かなりドキドキしていて、心臓の音がうるさいくて、思考回路が止まりかけていた。
「ふわぁ〜…」
しばらく歩いていると、りんかは少し眠たいのか、あくびをする。
「眠いのか?」
「うん…昨日夜遅くまで勉強してたから…」
「そうか…駅に着いたら起こしてやるから、少し寝てろ」
「うん…ありがとう…」
そう言うとりんかはわずか5秒で眠りに落ちた。『ありがとう』の後に何か言ったような気がしたが、恐らく気の所為だろう。
「すぅ…すぅ…」
(の○太かよ…)
気持ちよさそうに眠るりんか。そんなりんかの寝顔を見て、真樹は
(寝顔可愛いな…まるで小さい子犬みたいだな…)
と、思うのであった。
--りんかside
初めて彼氏におんぶをしてもらった。
(むぅ…やっぱりしてくれないんだ…)
りんかは、内心、諦めていた。が、しかし
「しゃあねぇなぁ…ほいっ…と」
「えっ…きゃっ!」
(まさか、本当におんぶしてくれるなんて…)
軽い気持ちで言ったつもりだった。多分素っ気なく返事されて、歩かされるんだろうなと、しょんぼりしていた。
なのに、今、私はおんぶされている。
(はわぁ…真樹の背中、とっても暖かくて気持ちいいなぁ…)
「えへへ〜、彼氏におんぶしてもらった〜、私、幸せ者だ〜」
「そうか…良かったな…」
自分よりも大きな背中…そして、ほんのりと伝わってくる体温、それは…とても心地のよいものだった。
(うぅん…なんだか眠くなってきたなぁ)
「ふわぁ〜…」
不意にあくびが出る。
「眠いのか?」
「うん、昨日夜遅くまで勉強してたから…」
「そうか、駅に着いたら起こしてやるから、少し寝てろ」
そう言ってくれる真樹。喋り方は素っ気ないが、どこか暖かさを感じる。
「うん…ありがとう…」
「真樹…大好きだよ」
りんかは真樹に聞こえないくらいの小声で、そう囁いた後、睡魔に負け、眠りに落ちた。
-あとがき
どうも、シシトウです!更新しましたー!
3話、どうでしたか?2人のやり取り、ほんと尊いですよね〜、書いてる途中、私もニヤニヤしてしまいましたw
いいね、応援コメント、星3つ、付けてくれると今後の励みになって、すっごく嬉しいです!なので、ぜひお願いします!次回の更新は少し間が空いてしまうかもしれません。早くなる時もあります。ほんとに不定期です。
不定期と言いつつ3話までは毎日投稿してました。でも、4話からは少し間が空くかもしれません。それでも良ければ次のお話でお会いしましょう!それでは!
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