第2話-恋人繋ぎ



「ん〜…朝か」



子鳥のさえずりと共に、スマートフォンのアラームの音が聞こえてくる。そして誰かがサーっとカーテンを開ける音が…え?



「あ、起きたんだね、おはよ〜真樹」



そこに居たのは雨宮だった。



「…雨宮…なんでここに」



鳴っているアラームを止め、目を擦りながら雨宮に疑問を問いかける。



「ん〜?彼女が迎えに来るのは当然でしょ?それより、早く顔洗って歯磨いて朝ごはん食べてね」



そう言うと雨宮は朝食の用意を始めた。



食パンにバターを塗り、トースターで食パンを焼き始める。その間にインスタントのコーヒーを用意してくれた。



(普通の彼女でもこんなに尽くしてくれないと思うんだが…)



そう思いながらも顔洗いと歯磨きを済ませた真樹は椅子に座り、テーブルに並べられた朝食を頬張る。



「ありがとな、雨宮、久々に他人の手料理食べた気がする。」



真樹は高校に入ると同時に一人暮らしを始めた。親の仕送りはあるものの、料理、掃除、洗濯は1人でこなして来たのだ。



…と言えば少し嘘になる。洗濯は出来るのだが、料理を作れば出来上がるのはダークマター、なので普段はコンビニ弁当で済ませている。



掃除は床にプリントや雑誌が転がっており、手をつけようにも、どれから片付けるか悩んでしまい、中々掃除に手を付けることが出来ない状態である。



(母さん…いつもこれを当たり前にしてくれてたんだよな…ほんと、母のありがたさがわかったよ…)



そう心の中で思っていた真樹の前に、頬をぷくーっと膨らませたりんかが座っていた。



「…むぅ」



不服そうに頬を膨らませる雨宮、疑問に感じた真樹は雨宮に問いかける。



「なんだよ」



「いや、さっきから思ってたんだけど彼女なのに名前呼びしてくれないんだな〜と思って」



「なんだ、そんな事かよ…りんか」



真樹は頭を掻きながら視線を逸らし、初めて彼女の下の名前を呼んだ。



「えへへ、なーに?」



ふふっと笑うりんか。そんな彼女に対して、素っ気なく返事をする真樹。



「お前が名前呼びしろって言ったんだろうが」



「お前じゃなくて、り・ん・か」



また頬を膨らませるりんか。真樹は呆れたように再び素っ気なく返事した。



「分かったよ…りんか」



再び彼女の顔に笑顔が戻る。



「ふふ、それでよし」



朝食を食べ終わり、真樹は制服に着替えて学校に向かう準備をする。



「着替え手伝おうか?」



「1人で着替えるから!」



着替え終わった真樹はカバンを持ち、玄関を出て、学校に向かうのであった。



「真樹〜、私もついてくね」



「勝手にしろ」


--------------------


学校に向かう途中、りんかは物欲しそうな目でこちらを見つめてくる。すぐに俺は何をしたいのかを察した。



「手、繋ぎたいのか?」



するとりんかは今から遊んでもらう子犬のように目をキラキラさせて、首を縦にふる。



「うん!手、繋ぎたい〜!」



真樹は普通に手を繋ごうとした。するとりんかは指の間にシュルっ…と自分の指を絡めてきた。そう、恋人繋ぎというやつだ。



「えへへ〜、やってみたかった事、また1つ叶えちゃった、恋人繋ぎ、してみたかったんだ〜」



そう言い肩を寄せてくるりんか。



(甘い匂いがする…)



真樹はかなりドキドキしていた。



アロマのような甘い香りが漂ってくる。そして、ゴツゴツとしている自分の指では無い、ひんやりとしていて、瑞々しい女の子の指、更には美少女ときた。ドキドキするのは仕方ないだろう。



頬を赤くする真樹、りんかはニヤッと笑いこちらの顔を覗いてくる。



「さては、ドキっ…としたでしょ〜」



「してねぇよ…」



なんとか素っ気なく返す真樹、しかし、既に顔は赤面しており、彼のポーカーフェイスは既に崩れていた。



そんな真樹に追い打ちをかけるかのように、りんかは真樹の手をギュッ…と少し力を込めて握ってきた。



「えいっ♪」



「………っ!!」



耳まで赤くなる真樹、りんかに聞こえないくらいの小声で



(これ…色々とヤバい…)



と口にする真樹であった。




--りんかside--




初めて男の子と恋人繋ぎをした。



手を繋いだ瞬間、内心ドキっ…としていた。



(うわ〜…男の子の手ってゴツゴツしてる〜…)



ふと真樹の顔を見る。



(あれ?もしかして照れてる?真樹可愛い〜…ちょっと意地悪してみよっと…えへへ、どんな反応するかなぁ)



りんかは真樹の手をギュッ…としてみた。



(真樹可愛い…けど、どうしよう、ちょっと私もドキドキしちゃったよぅ…はぅぅ…)



実はりんかも少し照れていて、頬がほんのりと、赤色に染まる。


--------------------


内心ドキドキしている2人。お互い赤面しており、とても見つめあえる状態では無かった。



(お…俺の心臓の音…りんかに…)



(わ…私の心臓の鼓動…真樹に…)



(聞かれてないよな?!)

(聞かれてないよね?!)









-あとがき


どうも、シシトウです!更新しましたぁ!

2話、どうでしたか?りんかちゃんはかなり積極的ですね〜…でも攻めすぎちゃって、自分も少し赤面してるのが、またいいんですよねぇ〜(ニヤニヤ)。良ければいいね、応援コメント、感想など書いてくれると嬉しいです!不定期更新ですが、まだまだ沢山更新していきます!応援よろしくお願いします!

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