君と過した半年の想い
シシトウ
第1話-美少女からの2つの告白
夏休みの少し前、7月20日の猛暑日
「人生ってつまんねぇな〜」
1時間目の歴史の授業中、灰色の高校生活を送っている杉山真樹はそんな考えがふと頭をよぎった。
彼女なんて作っても疲れるし、自分だけのペースは許されず、相手のペースにも合わせないとだめ、それなら一人でいた方が楽なんじゃないか、そう思った。
そんな事を考えていると、隣の席の美少女、雨宮りんかに小声で話しかけられた。
雨宮りんか…成績優秀、容姿端麗、優しい性格でさらに、かなりの美少女である。
「杉山くん、放課後、少しいいかな?」
特に予定がないので、真樹は少し戸惑いながらも、了解の返事を返す。
(でも、どうしていきなり…)
真樹は考えていた。すると、先生がいきなり真樹を指名してきた。
「…山〜?…杉山〜?」
先生の声に気がついた真樹は慌てて返事をした。
「はい!…」
「ずっと上の空だが、体調悪いのか?」
「いえ、すみません、少し考え事をしてました」
「そうか、気分が悪くなったらすぐ保健室に行くんだぞ〜」
そう言うと先生は授業を再開した。
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あれからずっと考えていた。
(放課後、少しいいかな?)
「あれはどういう意味なんだろう」
2時間目以降、ずっと雨宮の事で頭がいっぱいだった。
理科の授業中、空の試験管を持って、空の試験管に何かを入れようとしたり…
『杉山〜何してんだ〜』
体育の授業のドッジボールで、飛んできたボールに気付かず、棒立ちで顔で受け止めたりしてしまったり…
『杉山…大丈夫か?』
恐る恐る、数名のクラスメイトが駆け寄ってくる。
チラッと雨宮の方を見る。しかし雨宮は何ともないかのように平然と授業を受けている。
そして、放課後が近づいてきた。
――放課後
「残ってくれてありがとね」
教室で夕日を眺めていると、教室の扉が開き、雨宮がこちらに近ずいてきた。
「で、どうしたんだよ、いきなり」
すると、雨宮は真樹の前の席をこちらに向けて、真樹を見つめる形で座った。そして、こんな話を切り出してきた。
「杉山くん、私と付き合ってくれない?」
雨宮は照れる様子もなく、俺に告白をした。
しかしその後、雨宮はもっと衝撃的な告白をする。
「実は私ね、もう長くないの」
(どういうことだ?何が長くないんだろう)
しかし真樹は瞬時に理解した。
「お、おい…長くないって…もしかして…」
真樹は最悪な事をイメージしてしまう。
「うん、合ってるよ、多分」
すると何故か雨宮はなぜか笑顔で真樹に向かってこう言った。
「私ね…実は…」
「余命、あと半年なんだよね」
余命半年…そう聞いて真樹は何とも言えない気持ちになった。
「嘘…だろ?」
「ううん、嘘じゃないよ、ちゃんと診断書もある」
雨宮の目は普段とは違う、真剣な眼差しだった。嘘を言っているようには見えない。
すると雨宮は続けてこう言った。
「私ね?小さい頃から体が弱くて、18になるまでに死ぬって言われてたの、だから、自分のやってみたいことを死ぬまでにやりたくて、それで、彼氏欲しいなぁって思ってね」
「そうか…でも、なんで俺なわけ?」
真樹はふと思った事を呟いた。
「だって君、私に興味無さそうなんだもん、だから、冷徹な男と呼ばれてる君と付き合うとどんな感じなんだろーって思ってね」
「なるほどな」
冷徹な男…それはクラスの皆がつけたあだ名である。
真樹は実はモテている。がしかし、性格が少し難ありだった。
――1年前
「杉山くん、ずっと好きでした、私と付き合ってください!」
クラスメイトの女子から告白を受けた。しかし
「ごめん、俺、君のこと分からないし、君と付き合いたくない、あと僕のどこが好きなの?」
「それは…顔がかっこよくて…」
すこしオドオドしながら答えるクラスメイトの女子、すると真樹は冷たい言葉で返す。
「あっそ、所詮顔だけしか見てない浅はかな女って事か」
「そんな言い方…酷いよ…もう知らない!」
そうして彼は周りを寄せ付けない冷徹な男と呼ばれていた。
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そして、雨宮はすごくモテる。ほぼ毎日男子からの告白を受けており、その数は数え切れないという。
一日最高8回、1ヶ月で200回近くも告白を受けたことがあると言う。
男子バスケの3年のエース、同じ学年のイケメン男子、その他諸々、色んな男子生徒が雨宮に声をかけたが、撃沈したという。
更には他の学校の生徒や、男子大学生からも告白されているという。
「いいよ…でも、付き合うったって、何すればいいんだよ、俺、彼女出来たことないし、というか作ろうと思ったこと無いし、考えても無かった。あんまりいい思いさせてあげれないかもだぞ?それでもいいのか?」
真樹は自分と付き合っても、あまりいい事は無い、と言い遠回しに言いつつ、告白の返事をOKした。
「大丈夫、だったら…私のしたい事を聞いて欲しい」
(雨宮のしたい事ってなんだろう…)
「ま、とりあえず、今日はもう帰らないと、ありがとね、それと、これからよろしくね?真樹」
雨宮の笑顔に不意にもドキッとしてしまった。
(か…可愛い…)
「…さて、一緒に帰ろっか」
席から立ち上がり、そのまま帰ると思った雨宮が、真樹に言った。
「え?」
思わず声が裏返った。
「え?って…私たち付き合ったんだから、一緒に帰るのが当然でしょ?」
満面の笑みで言う雨宮。またドキッとしてしまう。
(うぅ…少し可愛いと思ってしまった。)
顔が赤い真樹、それは夕陽に照らされたせいなのか、それとも雨宮の笑顔のせいなのか、答えはおそらく後者であろう。
「何してるの?早く帰るよ」
「私の彼氏さん」
-あとがき
初めましてシシトウです!今回は記念すべき1話、なので、少し文字数多めにしてみました!1話、どうでしたか?小説書くのは初めてなので、不安が沢山ありますが、頑張ります!そして、この作品は不定期です!自分のペースでちょこちょこ更新していきます!
良ければいいね、応援コメントくれると嬉しくて、励みになるので良ければお願いします!m(*_ _)m
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