最終話
言いようのない気持ちを抱えたまま、
公正証書を提出する日を迎えた。
奴の表情はどこか晴々している。
そりゃそうだ。離婚は十年近く前から
言っていたことでそれが叶う訳だか
ら。
対する私は、自分の希望した条件が本
当に全て入っているのだろうかと不安
になりながらも、どこか気持ちは晴れ
なかった。
そう考えている間に呼ばれた。
書面を見ながら一つ一つ確認してい
く。
事前に確認はしていたがこれで最終確
認だからくまなく確認した。
そしてついに正式な証書となり受理さ
れた。
その場で持ち帰れるので持ち帰った。
駅までは徒歩で数分なのですぐに駅に
着いた。奴とは反対方面。
当然のことながら子供をだしにしても
会うこともせず、お茶もせず、終わっ
たからさっさと帰ると。
私の表情を見て奴は何か感づいたの
か、こう言った。
「願いは叶ったんでしょう?旦那いら
ないから種と金だけ欲しい。人を利用
してまで子供を作って嬉しい?楽し
い?てめえのせいで俺の人生は狂わさ
れた。子供への責任と義務は果たすが
あとは知らない。一人で育てるって言
ったんだから育てるんだな。」
そう言って奴はそそくさと帰路につい
た。
私はしばらくその場に立ち尽くしてい
た。
いつもなら数分で復活して次の手を打
てるけど、今回は体も頭も心も動かな
い。
ことの重大さにようやく気がついた。
私は一体何をしてしまったのだろう
か。
しかしもう戻れない。私は呆然と立ち
尽くすしかなかった。
完。
私が目的達成した話〜元旦那とのエピソード みんぐー @misakingu
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