第25話

とりあえず戸籍謄本を不動産屋に出せば良いらしく、役所でもらってきた。


奴が帰ってきたから、冷静を装って書類もらってきたと伝えた。


とりあえず受け取ったが、何故戸籍謄本をもらってきたか聞いてきた。


それで良いみたいだよ。


と言うと不思議そうな顔をしていたが、それ以上は聞いてこなかった。


とりあえずはこれで通せる。


と思っていたら、


「明日公正証書を出しに行こう。」


また言ってきた。


「え、まだいいよ」


「何で?早い方が良い」


実は離婚届を書かされた時に、公正証書も作らされたのだった。


「引越しで忙しいでしょう?」


と拒み、行かせなかった。


そうこうしている間に、奴は引っ越し準備を進め、引っ越しの日を向かえた。


家の前にトラックが来て、次々と荷物を運び出す。


「じゃあ俺は行くから」


「うん。」


とだけ言って出ていった。


奴の様子は浮足立っていた。


「馬鹿め。離婚届も公正証書も速攻で破り捨てたんだよ。」


気づいていない奴の馬鹿さに笑いが止まらない。


「さて。奴はいなくなったし金は巻き上げるだけだし、次の手を考えていていくか。」


私はそう思いながら羽根をのばした。

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