第24話

相手は着々と引っ越し準備を進めている。


これはまずい。


周りに知られたら何と言おう。


仕事で遠くへ言ったとでも言っておけば押し通せるか。


そうこうしている間に相手がまた言ってきやがった。


「離婚してくれ。」


といって離婚届にサインして持ってきた。


おまけに

「離婚届を出して、そのままその足で公正証書を出しに行こう」


とまで言いやがった。



次の手に出てきたか。

強気な発言に負けて書かされてしまったが、まだ出さない。これは頑なに拒否してやる。

「無理!子供がいるんだから」


こういう時に子供をだしに使えるのは楽だ。


しかし相手は

「ここまできたらいつ離婚してもおかしくない。俺をどこまで苦しめれば気が済むの?!」


とまで言ってきた。


ここで私は言い返せずいた。


悔しい!!


でもそう簡単にへこたれないのが私。


しぶしぶ離婚届を書いたけれども、


「書いたけど、出せない。」

と言ってやった。


「何で?!」


「気持ちの整理がつかないから。」


「それって世間体だけでしょ?」


「そうだよ。でも、自分のタイミングで出すから預かる。」


「ふーん。でも近いうちに出すから。届けを出しに行く日を空けておいて。あと捨てるなよ。」


と言われた。


焦った。


ここまでくると流石にまずい。


でも私は開き直った。


離婚届は預かったし家を出ることは許しているから、仮に出さなかった、捨てたとしてもしぱらくは疑ってこないだろう。


現に相手は引っ越し準備で忙しそうだ。


「あ!」


私はまた名案を閃いた!


「引っ越しの書類、貰ってきてあげよう!!」


そうすれば、離婚届を出していないのもばれないし、相手は離婚したと思ってるけど実際には離婚していない。

私の思惑通りになる!!


「よっしゃ!またこれで勝てる。私の思い通りだ!!」


私はすぐに役所へ向かった。

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