『西洋中世奇譚集成 皇帝の閑暇』を読んで
クレヨンしんちゃんの曲で口ずさみたくなるような、リズムのいいタイトルです。
しょうもない話を含め、変わった話を集めてあります。当時の読者として想定された人たちにとっての、驚異というものや、当時にいう合理的解釈が楽しい本でした。たとえば怪物キマイラとはライオンやらヤギやらがいる森のことを伝えるのに、色々な獣の部位がごちゃ混ぜになったもの、などと解釈したようです。
僕には思い当たる経験があります。
ここでは便宜上「えにめぎ」と呼ぶ、ある異形の怪物について友人たちと話していました。僕は、昔のタブーを破った人の特徴を誇張したもので、戒めとして語ったのではないか、と言いました。友人の一人は、その中世の人のように、実在の動植物から特徴をパッチワークしたと捉えました。また別の友人は、ウンコとチンチンで説明を試みました。
実のところ、この三つとも、説明とか理解の仕方として、全くよいものではなかったし、それに至る推論も粗末なものでした。それでも、仲間内で盛り上がるには適したバカ話だったと思います。
その後も盛り上がりに盛り上がり、結局一番怖いのはダメージ床なんだなあ、と叫んでゲーム機を投げ出した瞬間のことです。
これが地域の今でいうどの辺での話だったかも思い出せません。「えにめぎ」が来襲して、あたり一面をグルヴポにしたのです。「えにめぎ」は、伝えられる通りの姿をしていて、比喩とか示唆とかが入る余地は一切ありませんでした。「本当にこういうのがいたんだな」「ダメージ床より怖いな」と悟りました。
そういう思い出が、あるのでした。
翌日は、かなり濃い赤紫色の雨が降りました。
※[……]を暴こうとすることを推奨はしません。
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