番外編 カンパニュラーカンパニュラー

僕はカンパ・パープニュラ。はじめまして。これで3回目の自己紹介だね。


静かになった『言の葉の校舎』で、カンパは暇を持て余していた。季節は変わらないし、古くもならないこの校舎はもう見飽きた。


「嘘、ついちゃったな。」


−カンパニュラ−


後悔 後悔 してももう遅いわよ

してない してない 後悔なんてしてないよ

気付かない愛が膨らむばかり

知らないフリしていたかった

カンパニュラ


壊れてしまって 目を伏せている

合わせる顔がないの ほっておいてよ

溢れる愛 拾い切れなくて零れ出る

感情に出ちゃって隠せない

知りたくなかった 知りたくない


後悔 後悔 してないよ

追いつけない感情の大きさ

「君に会いたい」なんて 思ってない 思ってない

言い訳が好きすぎて

本当の別れはまだ知らない


紫色のお花が咲き誇る

自分を象徴する花たちが

今宵の中光もない街路でも

自分を綺麗にしていて


壊れしまって 目を背けてる

もうそろそろ気づきなさいよ

溢れる愛 隠せてないよ もう我慢しないで

ほらほら辛いでしょ?

君の心で感じてよ 泣いていいんだよ


ドンマイ ドンマイ 大丈夫だから

追いつけないの愛が大きすぎて

「君に会いたい」なんて 思っていいの?

いいのよ だから声出して

自分を認めて感じてよ


カンパニュラ


―――・・・


カンパ・パープニュラの由来について教えてあげようか。僕は4月に生まれた妖精の一人として生まれた。


「貴方の名は『カンパ・パープニュラ』。これは、紫色のカンパニュラから生まれたあかしよ。」


神様はそう僕に名付けた。最初はこの名前が大好きだったし、何も違和感も何もなかった。でも、あるとき広まった妖精間の間での噂。紫色のカンパニュラの花言葉は


『後悔』



「あ、『後悔』の妖精がやって来たわ。」

「『後悔』の妖精無視しないでよ。」


いろんな妖精から自分に向けられる言葉。一つ一つが、僕の心を強く抉った。そして自分は犯し始めた様々な罪のない妖精への嫌がらせ。そんなことを続けていたら当たり前のように神様に怒られる。


「カンパ・パープニュラ。貴方は『言の葉の校舎』の管理をしなさい。」


つまり、『言の葉の校舎』という檻に囚われるということ。僕は自分の名の花言葉のように『後悔』をしてしまった瞬間だった。自分を信じることができなくなって、何も見えなくなって、それで、それで...


『カンパ、ありがとう。』

『ありがとうな。』


僕は二人の言葉を沢山思い出す。どれも自分に響く信頼できる言葉だった。


「春香、僕の好きな言葉はね。


『鳴神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ』


なんて、重くて言えないよ。もう、会えないのか。」


カンパニュラ自体の花言葉の一つは「感謝」だということ。そのことをカンパが知るのはもう少し先らしい。

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