第24話 最終決戦
すると、さっきの男が光の柱のエフェクトと共に転移してきた。
「驚いたな。テレプシコラーのAIアシストを受け付けない人間がいたとは……これも強すぎる自我の所為か……」
「くだらねぇこと言ってないで、弁明の余地があるならしてみろ。ないなら土下座だ」
操は、フッとバカにしたように笑い、そっぽを向いた。どうやらヴァイオリンを弾き狂う群衆を見て、悦に入っているようだ。
「テレプシコラー。相手してやれ」
操が指示すると、一頭のドラゴンが遥か上空に現れ、急降下してきた。風圧で飛ばされそうになるが、俺は地面にうずくまり、やり過ごす。
ドラゴンは続けて炎を吐き、辺りは火の海となった。だがムーサイは炎の熱さまでは再現しないようで、俺は無傷だ。
燃え盛る炎は一点に集束し、ヴァイオリンの輪郭を形づくった。
「御意のままに、操様」
火は完全にかき消え、真希は銀色のヴァイオリンを手に取った。相変わらずの派手好きだな。
「真希。お前がテレプシコラーだったのか」
そうなんじゃないかとは思っていた。
「そういうこと。新。騙しててごめんね」
「別に、詐欺じゃないんだから問題ない」
何か騙し取られたわけでもないしな。むしろ、こちらが真希の知名度の恩恵に与っていたくらいだ。
「ムーサイで戦闘行為はできない。お互いに画像は出さず、演奏音源のみをライブ配信して、いいねの数で競う。お前が勝てば全て教えてやる。それでいいな?」
「いいだろう。乗ってやるよ、その勝負」
パルナッソス社のサービス内で勝負する以上、何らかの不正やイカサマが仕掛けられている可能性は十分にある。そんなことは百も承知だ。
ズルをしてまで勝って嬉しいのなら、その程度の連中だということだ。人類の優位は揺らがない。
本当の脅威は、ガチの勝負で負けることだ。
気合入れないとな。
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