第十四話 魔族との初陣 開戦
「さて、じゃあそろそろ戦いますか。作戦はどんなのでしたっけ。」
「だから作戦はないって。」
「ある程度決めません!?」
「いや、いらないな。」
「いらないわね。」
「なんで……。」
「ま、とにかくやるか。」
「そうだね。まずは僕が始めよう。」
そういってリファイが前に出る。
「
氷の薔薇に絡まれて動きが遅くなったところに氷の監獄が現れその動きすらもできなくなってしまう。
助け合う習性があるのか二匹の蛇はお互いにお互いの檻の方に出ようとしている。
ただ、氷の監獄は固く壊れない。
「やるわね。ただ、これだと攻撃できるの私とあなたぐらいにならない?」
サラスがそう文句を言う。確かにあの檻には人間が通れる隙間はあるがあそこには入らないだろう。サラスとリファイの魔法が得意な二人しか攻撃できない。
「今はそれでいいと思ったまでさ。あの檻も長くは続かない。それまでにできるだけ削っておけば良いじゃないか。」
「ま、それもそうね。バブルラング!!」
「魔力充満:
二人が魔法で果敢に攻撃するも傷はできているし怯んでもいるがそれでも致命傷に陥っていない。さらに、回復能力が高いのかお互いに回復はできずとも個人での回復で十分間に合ってしまっている。
二人はなるべく氷の縛りを破壊しないように魔法を打っているがどうしても体に巻き付いている氷の薔薇は破壊されてしまった。それによって蛇の動きが自由になり氷の檻に体当たりして壊そうとしている。
「お前ら、備えろ。」
ルーファスの低く真剣な声が響く。
その直後、二匹を囲んだ二個の檻は蛇の体当たりによって砕け散った。
僕はそうそうすぐには襲ってこないと思っていたがその予想は大きく外れ、二匹はそれぞれ反対の方向に走り、回り込んで僕たちを襲う。
速さも同じようで二匹は尻尾を振り払う。
それには右の黒い方はライアン、左の白い方はシニスターが対応した。
ライアンは槍を縦に構えて尻尾を押さえ込んでいるが、少し吹き飛ばされ距離を離されてしまった。
シニスターも同様に斧で防御し、少し飛ばされたが、すぐに自分の背後に岩の柱を出して距離が離れないようにする。
白の蛇はそのしぶとさに何を思ったのか睨み合っている黒い蛇とは対照的にシニスターに近づいていき、乱打をし始めた。シニスターは重そうな斧と大きな体からは考えられないほど俊敏な動きでその乱打に応えている。しかし、それだけで精一杯にしている。
「シニスター、乱打は僕とコキジがやる。後ろで援護してくれ。」
オッドくんがそう言ってシニスターが防御するはずの一撃を受けもつ。そこからいつの間にかコキジが合流しており、二人で乱打に応え始める。シニスターは少し後ろに下がって言われた通り岩魔法で援護している。そのおかげかさっきシニスターが一人でしてた時より幾分か楽そうにしている。
シニスターは岩の柱と岩の槍を使い分けて発動している。準古代種と呼ばれるだけあり知能が発達している。避けないといけないものなのか、避けなくてもいいものなのか予測することのできない二択に行動が遅くなっている。
岩の槍を避けられなかったことで生じた傷がだんだんと増えてきており、地面にはたくさんの血が落ちている。
相方の危機に気付いたのか黒い蛇が白い蛇に近づいて三人に攻撃しようとしている。
止めないと!!
僕は両手にそれぞれ魔法陣を作りながら走り出す。走りには自信がある。蛇の体液を警戒して離れていたから蛇とは離れていたがこのペースなら間に合う!
三人にぶつかる寸前に僕が到着する。右手の魔法陣をまず蛇の横顔にぶつける。
それによって少し軌道がずれてヘイトが僕に向く。
蛇は少し距離をとって僕と向かい合う。左手の魔法陣をジリジリと強くする。
――そして僕に突撃してきた。
蛇は牙を剥いている。完全に僕を殺す気だ。いいだろう。受けてたってやる。
僕は魔法陣を前に突き出して牙を受け止める。第一インパクトでは負けてない。でも!どんどんと押されている。魔法陣もミキミキ言っている。まずい。
そこで急に少し軽くなる。なんだ。そう思って僕は横を見るとラヴァが槍で僕の手助けをしてくれている。でも、押されている。
少ししたらさらに軽くなる。隣を見ても変わらない。なんだ。原因を探していると上から血が降ってくる。それも大量に。その出どころを見てみるとルレアが二本のレイピアを使って切り刻んでいた。そして後ろからはルーファスがガトリング銃で射撃していた。
二人のおかげで蛇の突進は終わり、僕とラヴァは解放される。
現在二匹の蛇は回復する余裕はない。このまま攻めれば間違いなくいける。
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