元カノ

 高2の冬。俺、渋谷蒼しぶやあおいは半年間付き合っていた西野凛にしのりんに、突然振られてしまった。

「え、別れた?」

「うん」

「あんなに仲良かったのに」

 そう言って俺の唯一の親友、神谷悠馬かみやゆうまはとても驚いた。

「え、昨日も一緒に帰ってなかったか?」

「そう、別れ際に突然いわれてさ………」

「そっか………」

 悠馬はこれ以上何も聞いてこなかった。俺の事を気遣ってくれたのだろう。


「うわ、先生きた。」

「ほんとだ、じゃあまた後で」


* * *


 「⏤⏤⏤⏤⏤であるからここはX=2となり……」

 全然授業が頭に入ってこない。凛は今何を考えているのだろうか………。

 凛とは同じクラスだ。今日ちゃんと話をしようと思っていたが、凛は学校に来ていない。凛は体調管理が完璧だ。きっと俺と会うのが気まずいから休んだのだろう。そう考えているうちに、もう関わらないほうがいいという考えが頭によぎるようになった。


 凛は本当に可愛い、いや、美しい。容姿はもちろん完璧で、頭がよく、運動もそこそこ。他の同級生とはどこか違う雰囲気をまとっていた。学校の誰もが知っているような存在で、男子からはとてもモテた。


 だから、告白された時は本当に驚いた。なんで俺なのか、という疑問が浮かんだが、俺は高1の頃から凛が好きだったため即OKした。


 俺たちは『理想のカップル』と言われるようになった。周りに認められると思っていなかったため、とても嬉しかった。


 凛とは一緒にお昼をとったり、少し電話をしたり、時にはデートに行ったりした。俺たちのペースで付き合えていたと思うし、俺は本当に幸せだった。たまに喧嘩もしたが、すぐに仲直りをしていたし、別れる要因になるようなことはなかったと思う。


 なんで振られてしまったのだろう。凛は何を考えているのだろうか………。

 ああ、また同じことを考えてしまっている。答えは見つからないのに………。

 「本当に大好きなのに………」


 

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