第3話姉に救われてばかりな弟

「おぉーいぃ、三智ぅー夕飯出来たから……ってクッションに顔埋めてどうした?」

自室の扉が開き、気怠げな姉の声が夕飯が出来たことを告げる。

気にも留めない声音で俺の姿について訊ねてきた姉。

「なんでもない。後で食べるから」

俺はベッドで仰向けに横たわり、クッションに深々と顔を埋めたままに返事する。

「冷めた飯なんてマズイんだから食べちゃわないと、三智。誰かに酷いからかいを受けたりした?私はあんたの味方だよ。なんか悩んでることあったら聞いたげるけど」

俺のベッドにポスッと腰を下ろし、肩に手を置いてきた姉。

「……」

「悩みなんて溜め込むくらいなら私にぶつけなよ。私はあんたを突き放したりしてないでしょ、信じなよ」

「……あるよ、何度か。突き放されたこと」

「あー、あはは……そうだっけ」

「心当たりのある笑いだよ、それ……」

「あぁ、うん……ごめん、三智。でも……私以外って、あるの?正直なところ、当てがさ」

「……ない。澪姉しか……」

「夕飯食べ終わったら、みっちり聞いたげる。だからさ、夕飯食べようよ三智」

「うん……」

「やっと顔見せてくれたよ、お姉ちゃんに」

「ありがとう……」


俺は姉に手を引かれ、自室を出てリビングへと向かう。


食卓に並んだ夕飯を家族で囲み、摂り始めた。



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