現代編

第31話大賢者と現代

俺はメアと御門先輩とアリスを連れある場所へ向かった。

錬金術師マリーの工房である。

中央には巨大な円形の装置が鎮座している。


「ついにできたか」


「次元移動装置…我ながら傑作だわ」


「俺の記憶から座標を探り当てる事はできたか?」


「もちのろんよ。現代って別次元の世界でしょ?」


ああ、なんて懐かしい響きなんだろう。

もうすぐ現代へ帰れると思うとわくわくした。


「旦那様、帰っちゃうの?そんなの嫌!」


メア達が抱きついてくる。

今の俺達は恋人同士だ。

そりゃ離れるのは辛いだろう。


「ちょっと待て、お前らも行くんだぞ」


「え?」


きょとんとするメア達。

そりゃまあ当然か。


「旦那様、もしかしてご両親に結婚のご挨拶に!?」


「婿殿、そういう事は早く言ってくれ。それ相応の衣装に着替えねば…」


「ジャック君のお母様とお父様、どんな方達なんだろう」


なんか皆勝手にテンションが上がっているが、別に両親に会いに行く訳じゃない。

死亡届けも出してあるだろうし、一度顔出すだけでもややこしい事になる。

俺は久々に現代へ外出したくなったのと、資材集めの為だ。

機械系は現代が圧倒的に技術力が上だし、マリーの錬金術にばかり頼るのも限界があるしな。


「服装は学生服でいいぞ。ドレスや着物なんて目立つだけだからな」


残念がるメア達を余所に装置の調整に取り掛かる俺。

まあ実家に帰れなくてもアテはあるからな。

なんとかなるだろう。


「荷造りなんてしなくていいからな。全部現地調達で済ます」


俺は次元移動装置「ゲート」を起動させると、

輪の中の鏡面の様な水面の様な空間に手を伸ばした。

一瞬目が眩んだが、目を開けるとそこは見知った公園だった。


「ただいま、現代」


俺は心の中でそう呟いた。



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