第14話大賢者と傭兵王女

「さーて次はどうするかなー」


「つ、次は私の番だぞ、婿殿」


「よし決めた!次は脳筋にしよう!転移!」


俺はもじもじとしている御門先輩の手を握ると転移の呪文を唱えた。

俺は気付かなかったが、その手はほんのりと温かかった。


転移先に飛んだ瞬間、俺の目の前に特大の剣の刃が飛んできた。

俺はこんな事もあろうかと時間停止の魔術を転移後に同時発動する様にしておいたのだ。

御門先輩を安全な場所まで運ぶと、俺は真剣白刃取りのポーズでその剣を受け止めた。

時間停止解除!

時は動き出し俺は剣を受け止めめめめっめめめめめっめえめmっめm―

格好つけて良い所を見せようとした俺が悪かった。

魔術で強化した俺の肉体が全く通じない所を見ると、力のチートでも貰ったのだろう。

俺の足は地面にどんどん埋まっていく。


「ちょっとタンマ!ストップ!ストップ!」


「あ?なんだお前?いつからそこにいた!」


魔物の毛皮に身を包んだ赤毛の女性が俺に迫る。

強引な女性は嫌いじゃないが今は状況が違った。


「実はかくかくしかじか―」


「なるほどねー。自分の国を作りたいから力を貸せと」


「で、返事はどうかな?同じ異世界人のよしみでどうか…」


「駄目だね。あたいは自分より弱い奴に従う気はないのさ」


「金で動く傭兵如きが偉そうに…」


「あ?なんだって?もう一度言ってごらんよお嬢さん」


一触即発の御門先輩と傭兵の女ミーナ。

互いに武器を取り間合いを詰める。

こんな状況俺は望んじゃいない。

俺は二人の間に入る勇気などないので、とりあえず力を示す事にした。

俺は御門先輩の手を握ると天に手を掲げ、普通の雷の魔術を唱えた。

天は裂け、雷が落ちた地面には巨大な黒焦げのクレーターが出来ている。


「当てようと思えば当てられた。この意味はわかるな?」


「ふーん、あたいより強い魔術師様って事かい。いいだろう従ってやるよ」


「まったく、婿殿も甘いお人だ。こんな奴いなくとも私が―」


「あ?まだやろうってのかい小娘が!」


「はいはい喧嘩はそこまでにしてくれよ、転移!」


俺は転移の魔術を唱えると、学園ではなく、マリーに任せている無人島へと転移した。

そこで見た光景は歪んだ現代というか魔法と科学の世界が融合した様な、

なんとも言えない光景だった。


「マリー、これはいったい…」


「どう?これが魔科学国家バビロニアよ!」

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