第7話大賢者、生徒会会長に告白される

「ゼロ君、君と付き合いたいの」


いつもの告白シーンだが、今度は相手が違う。

この学園の生徒会長にして超エリート魔術師の、シルヴィア・アーススターだ。

よりにもよって全校集会の時に全生徒の前で告白したのである。

恥ずかしいったらありゃしない。

皆の注目が俺に集まる。

俺はトイレに行くフリをして会場から抜け出した。

が、何故かそこにはシルヴィア会長がいた。


「君と付き合いたいと言ったが返事をまだ聞いていないんだが?」


「何故ここに!?壇上で演説してるはずじゃ…」


「あれは影武者よ。似てるでしょ?」


「そんな事より全校生徒の前で羞恥プレイはやめてくさいよ」


「注目のプレッシャーで逃げない様にしたのだが、裏目にでたか…」


どうやら俺との会話が微妙にかみ合っていない様子。

呆れた俺はさっさと断って会場に戻ろうとしたその時である。


バサッ


シルヴィア会長がスカートを脱いだ。

その下には当然下着が見える…と思ったら水着だった。


「ななななにしてるんですか!?」


「私の身体を好きにしていい…だから君も私の物になって欲しい」


「いや、その、それはちょっと…」


会長の外見は長い黒髪が美しく、均整のとれたスレンダーな身体つきだ。

性格も実直でまっすぐであり真面目。文武両道と非の打ち所の無い女性だ。

正直魅力的な提案だが、一人の女性に束縛されるのも、物扱いされるのも嫌だった俺は、

意を決してその申し出を断った。


「成程、大賢者らしく紳士的な対応だ。感心したぞ」


いや、そんな大層な物でもないんですが、それは…。

俺はとりあえず自身の興奮を抑えるといそいそとその場から離れようとした。

その時である。


「ゼロ君と生徒会長ちゃんは学園長室まできてねー」


突然の校内放送に驚く俺。

そんな俺にシルヴィア生徒会長は手を差し出した。


「さあいくぞ、ゼロ君」


「は、はい…」


凛々しい態度と顔付きに、思わず見惚れてしまう俺だった。





所変わって学園長室。

どうやら賢者としての任務がまた始まるらしい。


「今度はどんなモンスターなんですか?」


「モンスターじゃなくて精霊よー」


「精霊と言うと最近暴走してるって言うアレですか」


「知っているんですか?シルヴィア生徒会長」


お決まりの文句で尋ねる俺。

どうやら最近下位の精霊達が暴れているらしい。

原因は不明との事。

下位の精霊如きに何故賢者の力が必要かと言うと、その数が膨大だからである。

更にできるならその真相も探って欲しいとの事。


「学園長、俺は何でも屋でも探偵でもないんですよ?」


「まあ真相の解明はついでの様な物だ。そうですよね学園長」


俺をなだめる様にポンと頭に手をやるシルヴィア生徒会長。


「そうそう、そっちは時が来たら正式に依頼を出すからね~」


結局頼まれるのか…まあその時になったら考えよう。

そう考え扉を開けようとしたその時だ。


「待ってゼロ君。風よ!」


シルヴィア生徒会長が呪文を唱えると、学園長室の扉が勢いよく開かれる。

複数の誰かがこけた様な声が聞こえた。

それはいつものメア、御門先輩、アリス、そして新たに加わったリーゼだった。


「おい、盗み聞きしてたのかよ」


別に怒ってる訳でも無いが一応聞いてみる俺。

4人はもごもごと何言ってるか分からなかったがまあどうでもいいやと、

適当に聞き逃した。


「とにかく、この任務は私とゼロ君の二人がご指名なの。ついてきちゃ駄目よ」


言葉は優しかったが、目が笑っていない怖すぎるシルヴィア生徒会長。

あの強気な御門先輩まで威圧される程のプレッシャー…その場の全員が凍り付いていた。

(学園長を除く)


「さあ行きましょう、ゼロ君」


俺は本能的に危険を察知し、黙って彼女についていった。



―とある廃墟



「こんなボロ屋に精霊がいるんですか?もっと自然溢れた所にいるんじゃ…」


「今回は建物に住み着く精霊ノームが標的よ。だからこれでいいの」


俺は彼女の精霊豆知識に関心しながらも廃墟の中に足を踏み入れた。

廃墟の中には誰もいないのに物がきしむ様な音がする。


「あのー魔術使いたいので手を繋いでも…」


「胸ね、分かったわ」


「え!?」


俺が言い終わる前に彼女は俺の手を掴み胸に手をやった。

服越しでも女性特有の温かいぬくもりが手に伝わってくる。


「さあ、いつでもいいわよ」


「は、はい!サーチ!」


俺がサーチの魔術を掛けるとこの廃墟とその周囲全ての精霊を可視化した。

通常なら目に見える範囲だけなのに、さすがはチート魔術である。


「続けて。揉んでもいいわよ」


「え!?あ、はい!ロック!」


もみもみ―巨乳にはない奥深さと弾力…これはいい!


俺はサーチした全ての暴走精霊に魔術でロックオンした。

これでピンポイントで攻撃でき、周囲を巻き込む事もない。


「これでトドメだ!ウォーター!」


ゲームや漫画、アニメでも地属性は水に弱いと相場が決まっている。

あのポ〇モンだってそうだしな。

俺は再びサーチを行うと、瀕死のノームが一体いたのを見つけた。


「どうします?倒しますか?」


「いえ、正気に戻っている様だから回復させて事情を聴きましょ」


「じゃあ、ヒール!」


俺はシルヴィア会長の胸をひともみすると瀕死の精霊に回復呪文を唱えた。

精霊は元気になるとそこらじゅうを走り回っている。


「お兄ちゃん達が助けてくれたんだね、ありがとう」


「いやそんな」


思わず照れる俺。


「それよりあなた、自分達が何故暴走していたのか理由を教えて?」


「よく覚えていないんだ。女の人が入って来てそれから意識がとんじゃって…」


「そこからは覚えていないって訳か」


「その女が怪しいわね。魔術師かも」


「そうかもしれませんね…で、そろそろ戻りませんか?」


「いいわよ、好きなだけ揉んで頂戴」


ぐいっと胸を付き出すシルヴィア会長。

しかし俺の視線は下の方に向いていた。

そう、足である。


「その…よろしければ足を貸していただけませんか?」


「足?別にいいけど…」


「じゃあ遠慮なく…」


俺は彼女の黒いニーソックスに片手を突っ込んだ。

反対側の手はふとももを愛撫している。

若干肉厚な太股とニーソックスのサラサラ感がなんとも言えない感触を感じさせる。

俺の興奮のボルテージは急上昇していた。


「???」


困惑しているシルヴィア会長。

しかし俺のやる気ゲージは順調にたまっていた。


「転移!」


俺が呪文を唱えると俺と会長はその場から消え学園に帰還した。


「人間って変わってるんだなー」と残されたノームは不思議に思った。

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