仲直り②


「だからルルルとパブは、きっと大丈夫よ。時間が必要なだけ。だってパブは、ルルルが大好きで大好きで、自分を許せないんだものね」


 パブはルルルを守れずに、ルルルは残酷な殺され方をした。

 二人は何も悪くない。


「悪いのは人間だったのに……本当にごめんなさい」


 メリーアンが謝ると、ルルルは静かに首を横に振った。


「ルルルはおねいさんに傷つけられたわけではありません。おねいさんはルルルにお菓子をくれました」


「……」


「ルルルは人間が嫌いではありません」


「……どうして?」


「ルルルは人間に助けられたこともあるからです。人間は悪い人だけではありません。現におねいさんがそうでしょう」


 優しい意見に、メリーアンは押し黙ってしまった。


「ルルルは長い長い道を歩いています。その途中に辛いことがあったからと言って、今まで歩いてきたその道全てを否定することなどないと思います。辛いことがあったからと言って、その先の道全てが辛いことだらけでもないでしょう」


「……ルルル」


「意見が合わないところも、全部含めて、ルルルはパブが大好きなのです」


 そう言って、ルルルは微笑んだ。

 でもその瞳の端っこには、涙が溜まっている。

 メリーアンは思わずルルルを抱きしめていた。


(私とユリウス、ルルルとパブは、似てるようで全く違う)


 ルルルはパブに対して、全く怒っていない。

 メリーアンはユリウスを許せない。

 でも、許せないこともまた一つの正しさなのだと思う。

 許せないなら許せないでもいいし、新しい道を模索しても良い。


(でもルルルはパブと一緒にいたいのよね)


 そんなことを考えていると、突然後ろの茂みがガサガサと動いた。

 振り返れば、予想通り、白いもふもふが草むらからこちらに飛び出してきた。さっきから視線は感じていたのだ、ずっと。


「お、お前!」


 パブは怒ったように飛び跳ねた。


「ルルルを泣かせたな!」


 そう言って、こちらに飛び跳ねてくるもふもふ。


「ええっ!?」


 まさかそんなことを言われるなんて思ってなくて、メリーアンは驚いた。


「いや、あの、泣かせるつもりはなくて」


「泣かせたなら一緒だ!」


 白いもふもふはひたすら頭突きをしてくる。

 が、全く痛くない。


「ぱ、パブ、ごめんなさい……」


 


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